第4回 恋文大賞

京都には、1716年創業という古い紙問屋「柿本」さんがあります。

その柿本さんが、「ありがとうの思いを伝えたい」という趣旨で、「恋文大賞」というコンクールを開催されておられます。

ミシェルのブログでも、過去に2回ほど紹介させていただきました。

コンクールは、今年で4回目になりますが、昨日、YUKIお姉さんから嬉しい連絡がありました。

イラスト・絵手紙部門に応募したYUKIお姉さんの作品が、栄えある優秀賞に選ばれたのです

著作権の問題もあって、今回の記事では、YUKIお姉さんの作品は掲載できませんが、手紙・作文部門の優秀賞作品を紹介させていただきます。





月の砂漠

後藤さとみさんの作品


真だ父は「月の砂漠」という歌が好きでした。
残念なことに尋ねたことはなかったので、今となってはその理由は分りません。

小学生の頃、日曜の朝になると決まって父は、私の部屋の真下にあるオルガンで、この曲をぷかぷかと弾くのでした。
私はへたくそな間奏の辺りで、仕方なく起きだしてきたものです。
ぐしゃぐしゃの頭、半開きの目玉でそばに行くと、「この歌、いいべぇ」と、いつも同じことを父は言いました。

私は「うん」と生返事をしながら、ぼーっとしている頭の中に、白い服を着た王子様とお姫様が月明かりの中、果てしなく続く砂漠の丘を上ってゆく様子を思い浮かべて、「これは朝らしくない歌だけれど、このさびしい感じは何だか日曜日に合っているのかもしれない」と思ったりしたものでした。

父が末期がんと診断され、緩和治療のために使っていた薬のせいで、朦朧としていた時、私は病室で小さな声でこの歌を口ずさみました。
「つきの~ さばくを~ は~るばると~」のところまできたときに、父も唇を動かして歌にはならない歌をうたいました。
なつかしくてかなしい歌でした。

告別式では兄弟四人で相談してこの曲を流すことにしました。
春にしては空が真っ青に澄んでいる美しい日でした。
たしか、陽光桜という早咲きの桜もほころび始めていました。

父はひとりで、どこまで行ったのでしょう。
黙ってとぼとぼと、らくだに揺られてどこに行ったのでしょう。
お姫様がいっしょでなくて、きっとさびしい旅かもしれません。





愛するミッキーへ

松本愛理さんの作品


いつも時折思い出す。
私が小学生の頃、家の近くで子犬が生まれた話を母が聞きつけ、急いで私は自転車の後ろにまたがり母と子犬を見に行った。

クリーム色の柴犬は臆病に近寄ってきて、まるで待っていたかのようにピタッとくっついてきたのだ。
兄弟は皆引き取られ最後の一匹だった。
名前はミッキーとつけて、いつも私達の側にいてくれた。

散歩が大好きだけど、たまに脱走して庭からいなくなる事も多く、近所の人が「ミッキーが神社にいた」とか、「公園にすわっていた」とか、本当に世話の焼ける子だったことを覚えている。
でも父の言う事だけはよく聞く頭のいい柴犬特有の誠実さは持ち合わせていた。

13年がたち、急に体調が悪くなったミッキーは、病院で家族に見守られながら一言、「ワン」と叫んで静かに目を閉じた。
きっと「ありがとう」と言っていたに違いない。

その日は一番可愛がっていた父がトイレで大声で泣いていた。
父が泣く声は初めて聞いた。
愛情の深さが響いていた・・・。

そして私は、まるでお昼寝をしているかのごとく幸せな顔をしているミッキーを優しく抱きしめて、さようならを言った。

それから10年、今でも庭を見ると、ミッキーが歩いていた様な、こっちを見ている様な。
もしかしたら、また脱走を試みているのかもしれないと思う時がある。
その時は、心の中で「ミッキー」と話しかけると、自然と目頭が熱くなってしまう。

私も年を取った証拠だなって母は笑って言うけれど、一番愛していた父のパソコンアドレスは「mickydog」
本物の愛情である。



★ランキングに参加中です。
↓ポチッと押して下さると嬉しいです♪

#fc2_text_ad{margin: 14px 0;}#fc2_text_ad span {display: block;float: none;background: transparent;margin: 0 0 2px;}#fc2_text_ad a {padding: 2px;display: block;}

スポンサーサイト

テーマ : 挿絵・イラスト
ジャンル : 小説・文学

コメントの投稿

非公開コメント

No title

yukiお姉さん、本当におめでとうございます!受賞作品を
見ようと、何度もトライしてみましたが、見られません。
でも、タイトルと、yukiお姉さんの絵の雰囲気からとても
素敵な事は想像できます。いつか、拝見したいです。

「月のさばく」も「愛するミッキー」も、感動です。病院の
待合室で携帯で見ていたのですが、涙がこぼれて困りました。
毎回、心を打つ作品が選ばれますよね。皆さんにそれぞれ
ドラマがありますね。
パパさん、お知らせ下さり、有難うございました。

No title

YUKIお姉さん、おめでとうございます!
さすがですね。

「月の砂漠」と「愛するミッキーへ」を読んで、私も目頭が熱くなりました。
恋文大賞は、毎年良い作品が多いですね。

泣けますね・・・

ミッキーのでは泣けました。
私も過去にワンコもニャンコも見送ったので、思いだしました。

Re: No title

>勘太‐モモのママさん
ありがとうございます。
YUKIお姉さんの作品を選んでくださった審査員は、多摩美術大学の教授ですから、プロ中のプロに認められて本当に嬉しかったと思います。

カリーノパパも、「月のさばく」と「愛するミッキー」に感動しました。
仰るように、恋文大賞は、毎回、心を打つ作品が多いですね。
人それぞれの人生ドラマを垣間見るようで、感慨深いです。

Re: No title

>メルママさん
ありがとうございます。
YUKIお姉さんも、嬉しかったと思います。

メルママさんも、「月の砂漠」と「愛するミッキーへ」を読んで、目頭が熱くなりましたか。
カリーノパパもですv-410

Re: 泣けますね・・・

>chacoさん
ワンちゃんや、猫さんを見送ったことがある人は、「愛するミッキーへ」を読むと、つい想い出して泣けてしまうでしょうね。
カリーノパパは、ミッキーのパパさんの気持ちが、よく解りました。
プロフィール

カリーノパパ

Author:カリーノパパ
●シェリー(シェルティー母):
 とっても優しい理想的な家庭犬
 アンジェの母親です

2016.4.18永眠、享年15歳11ヶ月

●アンジェ(シェルティー娘):
 ボール遊びと食事が大好きです
 我が家で生まれました

●カリーノ(ラフコリーの女の子):
 ショードッグ
  【主なタイトル】
 JKCチャンピョン
 FCIインター・チャンピョン 
 【主な賞歴】
 2009年アジアインターBOB
 2010年ジャパンインターBOB
 2010年近畿インターBOB
 2010年東北インターBOB 
 2010年ペディグリーアワード
 【資格】
 JKC訓練資格CDⅠ

2014.12.9永眠、享年8歳5ヶ月

●ミシェル(ラフコリーの男の子):
 陽気で優しく、人が大好きです
 ショードッグ
 【主なタイトル】
 JKCチャンピョン
 【主な賞歴】
 2011年神奈川インターWD
 2014年熱海愛犬クラブ展WD
 2014年山梨東ドッグコ展WD
 2015年沼津愛犬クラブ展WD
 【資格】
 JKC訓練資格CDⅠ

●カリーノパパ(人間):
 ミシェル達のお父さん
 本職は建築家(一級建築士)
 犬、スキー、ゴルフ、車、絵画が大好き
 1974年から大手建設会社の設計部にて勤務
 1986年に海外部門に異動し、14年間海外勤務
 内13年間をロンドンにて勤務
 2012年に大手建設会社を定年退職
 同年5月から河口湖でスローライフ開始

●訪問ありがとうございます。
4頭の犬と一緒に暮らしながら、日々感じたことを綴っています。
ミシェルとミシェルのお父さんであるカリーノパパが、記事やコメントを書いています。

●コメントは、ありがたく拝見し、返信させていただきます。

●リンクフリーです。貼ったり剥がしたり、ご自由にどうぞ。

カレンダー
09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
最新記事
最新トラックバック
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード
FC2カウンター
人気ブログランキング