帰れない犬たち



福島県の飯舘村は、人口6000人程の、のどかな村です。

ところが、福島第1原発の事故により、そこに住む人々の生活は一変してしまいました。



飯舘村は、福島第1原発から30km以上離れていることもあって、事故当時、国も県も「ただちに健康被害はない」と言っていましたが、その後の調査で深刻な土壌汚染があることが判明し、「計画的避難地域」に指定されてしまいました。

そして、住民達は他の場所に避難させられ、不便な生活を強いられることになりました。



飯舘村には、多くの犬も住んでいましたが、避難先で一緒に住むことは出来ません。

岐阜県のNPO法人である動物愛護センターが、30頭の犬を引き取って世話をしてくれることになりました。

犬の訓練士でもある上村智恵子さんが、殆ど一人で、犬達の世話をしています。

犬達の食事代は、月に70万円程かかりますが、寄付に頼っている状況です。



飯舘村の高倉家の3姉妹は、「ちゃあ」という名前のビーグルの雑種(8歳)を飼っていました。

事故が起きる前に撮影した写真を見ながら、3姉妹は、毎日、「ちゃあ」のことを話し合っています。

NPO法人にボランティアとして来てくれる女性が、「ちゃあ」の散歩をしてくれます。

「ちゃあ」も寂しいに違いありませんが、元気なことが、せめてもの救いです。



飯舘村に住む85歳の佐野武夫さんは猟師で、「チビ」という名前のビーグル(13歳)を飼っていました。

「チビ」は、とても優秀な猟犬だったそうです。

娘さんに住んでいた家に連れて行ってもらった佐野さんは、「チビ」の犬小屋を懐しそうに見ています。

猟の時、笛を吹くと、「チビ」は直ぐに戻って来たそうです。

佐野さんは、窓から見える山に向かって笛を吹いてみましたが、「チビ」は戻って来ません。

その後、佐野さんは、「チビ」の為に新しい首輪を買い、NPO法人に送りました。

普段は吠えない「チビ」ですが、新しい首輪を付けてもらった「チビ」が、珍しく吠えました。

首輪に付いた佐野さんの臭いが、「チビ」には分かったのかもしれません。



飯舘村には、「メル」という名前のゴールデン・レトリーバーも住んでいました。

NPO法人のケージの中に居る「メル」は、やはり寂しそうです。

ある日、避難先に居る「メル」の飼い主から、手編みの座布団が送られて来ました。

「メル」は、座布団に鼻をくっつけて、盛んに臭いを嗅ぎます。

「メル」は、座布団に飼い主の臭いを察知したに違いありません。

一段落すると、「メル」は安心しきった顔をして、座布団の上で眠っていました。



事故のあと、飯舘村で、4頭の子犬が生まれました。

ゴールデン・レトリーバーの雑種で、3頭の子犬は、すぐに里親が見つかりました。

NPO法人の代表である山口常夫さんが、残った1頭の子犬を引き取りました。

訓練士でもある山口さんは、子犬に「じゃがいも」と名付け、「じゃがいも」を災害救助犬にするべく訓練を行なっています。

災害救助犬は、通常、ジャーマン・シェパードなどの純潔種がなるので、雑種の「じゃがいも」は異例のことだそうです。

山口さんは、過去にも災害救助犬を育てたことがありますが、その当時と今の思いは、全く異なるそうです。

山口さんは、「じゃがいも」が災害救助犬になることが出来たら、「避難に疲れた人達の一つの光になる」と考えているようです。


避難生活を強いられている人達が、再び飯舘村に住めるようになるのはいつか、誰も知らない。

そして、飯舘村の人達が、再び愛犬と一緒に暮らせるようになるのはいつか、誰も分からない・・・



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テーマ : 原発事故
ジャンル : ニュース

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有難うございます!

本当に素晴らしい文章でアップされていて、感激しました。
感動を噛みしめさせて頂いています。有難うございます!

愛するワンコと、何時になったら一緒に暮らせるのかも
目処もたたず、会いに行くにも遠すぎる…。会いたいのに
会えない…。どんなにか辛い毎日でしょう。チビが首輪を
つけてもらって、鳴き声をあげ、メルが座布団の臭いを
嗅いでいました。みんな飼い主さんを思っていたのでしょう。
涙がとめどなく溢れました。お互いに、愛する者を思う
気持ちは人も犬も変わりませんね。そして、震災は今も
現在進行形で続いている、と強く思いました。

希望の星、じゃがいも君、がんばれ~!

胸が詰まりますね・・・

今も多くの動物たちが、取り残され・・・・
何を思っているんだろう?突然の出来事にわけがわからぬまま時だけが過ぎているという感じなんだろと思うと、涙が止まりません。
目を覆いたくなるような現実がそこにはあり、
それに対する怒りや悲しみをどこへぶつければいいのか?東電は、動物たちに対しても誠意ある行動を起こすべきと思います。
政府もです。
人命第一ということは当然なのでしょうが、命の重さは人も動物も同じなのに・・・
NPOの方々には本当に感謝ですね。
早く預けている子と暮らせるようになることを願います。

No title

chi---chiさんが言われるように、置き去りにされた犬達の救済については、政府は何もしてないように感じます。
私も犬の命も人間の命も同等に尊いものだと思います。
しかも、被災地の復興も殆ど手付かずの状況にも関わらず、もう原発の再稼動が認可されようとしていることに、激しい怒りを感じます。

No title

どの子もみな飼い主さんが迎えに来るのを待ってるんでしょうね・・・・

どうしてこうなったのか?

東電も政府も、こういう写真を見てなんとも思わないのかしら??

メルちゃん、かなりの高齢に思えますが・・・・

Re: 有難うございます!

>勘太・モモのママさん
私の方こそ、この番組のことを教えていただいて、大変感謝しています。

もし私が同じような状況に陥ったら、とても愛犬と離れて暮らすことなど出来ません。
50歳の頃に海外勤務の話があり、会社員としては良い条件だったのですが、愛犬と離れて暮らす気にはなれず、断ったことがありました。

メルちゃんが、座布団の臭いを嗅いで、その後、安心して眠ったシーンは、とても切なく思いました。
メルちゃんは、座布団から飼主さんの臭いを感じたのでしょうね。
きっと、どのワンちゃんも、飼い主のことが忘れられないのだと思います。

被災地には、今も行方知れずの人が大勢いると聞いています。
じゃがいも君が災害救助犬になって、その人達を見つけてくれるかもしれませんね。

Re: 胸が詰まりますね・・・

>chi---chiさん
被災地に取り残された犬の中には、鎖に繋がれたまま餓死してしまった犬もいます。
まだ幼い犬が餓死している写真も見ました。
多くの牛達が、餓死している写真も見ました。
きっと、皆んな、もがき苦しんだのだと思います。

そういう意味では、岐阜県のNPO法人に救われた、このワンちゃん達は、まだ幸せなのかもしれません。
でも、訳も解らず、飼い主と離れ離れになり、きっと寂しい思いをしているのでしょうね。
中には、身勝手な人間に怒りを感じている犬がいたとしても不思議ではありません。

政府や東電は、この犬達に何をしてあげているのでしょうか?
恐らく、何もしていないのでしょうね。
せめて、NPO法人に支援の手を差し伸べて欲しいと思いますが・・・

Re: No title

>ルイーズさん
私もルイーズさんと同じことを思い、同じように怒りを感じます。
人の命も犬の命も、同じように尊いと、私も思います。

Re: No title

>流花・桃花ママさん
きっと、どの子も飼い主さんを待ち続けていると思います。
この子達に何もしていない政府と東電には、改めて怒りを感じます。

メルちゃんだけでなく、老齢の犬はいっぱい居るようです。
また、保護される以前から病気にかかっている犬もいるようです。
そして、飼い主に会う前に虹の橋を渡ってしまう犬も多いそうです。
プロフィール

カリーノパパ

Author:カリーノパパ
●シェリー(シェルティー母):
 とっても優しい理想的な家庭犬
 アンジェの母親です

2016.4.18永眠、享年15歳11ヶ月

●アンジェ(シェルティー娘):
 ボール遊びと食事が大好きです
 我が家で生まれました

●カリーノ(ラフコリーの女の子):
 ショードッグ
  【主なタイトル】
 JKCチャンピョン
 FCIインター・チャンピョン 
 【主な賞歴】
 2009年アジアインターBOB
 2010年ジャパンインターBOB
 2010年近畿インターBOB
 2010年東北インターBOB 
 2010年ペディグリーアワード
 【資格】
 JKC訓練資格CDⅠ

2014.12.9永眠、享年8歳5ヶ月

●ミシェル(ラフコリーの男の子):
 陽気で優しく、人が大好きです
 ショードッグ
 【主なタイトル】
 JKCチャンピョン
 【主な賞歴】
 2011年神奈川インターWD
 2014年熱海愛犬クラブ展WD
 2014年山梨東ドッグコ展WD
 2015年沼津愛犬クラブ展WD
 【資格】
 JKC訓練資格CDⅠ

●カリーノパパ(人間):
 ミシェル達のお父さん
 本職は建築家(一級建築士)
 犬、スキー、ゴルフ、車、絵画が大好き
 1974年から大手建設会社の設計部にて勤務
 1986年に海外部門に異動し、14年間海外勤務
 内13年間をロンドンにて勤務
 2012年に大手建設会社を定年退職
 同年5月から河口湖でスローライフ開始

●訪問ありがとうございます。
4頭の犬と一緒に暮らしながら、日々感じたことを綴っています。
ミシェルとミシェルのお父さんであるカリーノパパが、記事やコメントを書いています。

●コメントは、ありがたく拝見し、返信させていただきます。

●リンクフリーです。貼ったり剥がしたり、ご自由にどうぞ。

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