母の人生を思う

ミシェルのお父さんは、定年を感じるようになった頃から、時々、自分の母親の人生について考えることがありました。

お父さんは、母親の若い頃のことは殆ど知りませんが、それでも母親の世代の常として、色々な苦労をしたことは耳にしています。

戦争中は、長女として、弟や妹の面倒を見ながら、一家を支える手伝いをしたことも聞いています。

お父さんが、物心がついた頃は、母親は、父親と共にスポーツ店の経営に携わっていました。

お父さんの父親は、元々、教師でしたが、生来のスポーツマンだったこともあって、教師を辞めてスポーツ店を開業したのです。

しかし、スポーツが好きということで始めた商売ですから、経営よりもスポーツを広めることに喜びを感じていたようです。

父親は、町の皆さんから「先生」、「先生」と呼ばれて親しまれており、ミシェルのお父さんは、子供ながらに、そんな父親を誇らしく思っていました。

趣味的にスポーツ店を経営していたので、恐らく、資金繰りが苦しい時期もあったと思われますが、子供達には、一切、親の苦労を悟らせることはありませんでした。

そのお陰で、ミシェルのお父さんは、苦労知らずに大学まで進むことが出来ました。

お父さんは、大学で建築の勉強をすると共に、スキー部にも属していました。

4年生になって大学院への進学が内定しましたが、その頃になって姉から手紙をもらい、初めて両親の苦労話を知らされました。

そういうこともあって、お父さんは「これ以上、甘えていてはいけない」と思い、大学院への進学を辞退し、最大手の建設会社に就職することにしました。

入社12年目にロンドンに赴任することになりましたが、その1年後に次女が生まれました。

そこで、ミシェルのお父さんは、親孝行を兼ねて「次女の出産の手伝い」という名目で、母親をロンドンに招待しました。

帰国の日が迫った時、母親が「お土産を買いたい」と言ったので、お父さんは、デパートなどに案内しました。

ところが、母親は、なかなか買い物をしようとしません。

しびれを切らしたお父さんは、思わず母親に悪態をついてしまいました。

その時は、気付かなかったのですが、母親は、恐らく、「家族が働いているのに自分だけがロンドンに来ているのに、更にお金を使うことを家族に申し訳ない」と考え、買い物を躊躇っていたのだと思います。

後になって、そんな母親の気持ちを理解したお父さんは、今でも、その時の思慮の足りなさを悔やんでいます。

母親の人生とは、幼い頃から大人になるまで苦労の連続で、趣味もなく、休みも無く働き続け、子供の成長だけを唯一の喜びとして生きて来たのだと思います。

渡英して6年ほど経った頃、お父さんは兄から電話をもらい、母親が、もう余り長く生きられないことを知らされました。

丁度その頃、お父さんは、大変難しい工事を担当しており、しかも大きな問題に直面していました。

その問題を解決する為に、お父さんは、自らフランスやドイツの工場に出かけ、問題解決の交渉に当たりました。

それが一段落して、お父さんは、急いで日本に飛んで帰りました。

入院中の母親は、お父さんの顔を見て「忙しいのに、何で帰ってきたの!早く戻りなさい!」と叱りました。

若い頃から家族を支え続けた、いかにも「肝っ玉母さん」らしい言葉でした。

今、ミシェルのお父さんは、定年を期に、晴耕雨読の生活を楽しもうと考えていますが、「出来れば、母親も一緒に暮らせたら、どんなに良かっただろう・・・」と心より思っています。



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親とは

ちょうど、親のことを考えていたので
一気に読ませて頂きました。
こうやって、子供に、思い出してもらうのは
親としての、最高に嬉しいことなのだろうと
想像ではありますが、思います。

苦境の時代を乗り越えた女性。
昭和初期を生き抜いた女性。
胸がキュンとなります。
そして、偉大なる敬意をはらいたいと
心から思います。

素晴らしい思い出を、共有して下さり
本当に、ありがとうございます!!

大事にしなくちゃ。
愛する親を …。
と、永遠に子供でしかない私は、
あらためて思います。

No title

1992年に父は他界しましたが、何の親孝行も出来ず後悔ばかりです。

母は健在なので、後悔しないようにどんな形でもいいから親孝行しないと!って思ってるんですが、実際何をしたらいいだろう?って考えさせられます。汗



父を思いました

昨夜、こちらにお邪魔しましたが、私は父を思い、
胸がいっぱいになり、コメントできませんでした。

カリーノパパさんのお母様はお幸せですね。
ご苦労された事、お優しい、慎み深い、でも芯の
強い、そんなお母様を思い、感謝され、胸の奥で
今も見守って頂いていらっしゃる…素晴らしいと
思いました。

私は父を思い、本当に今、居てくれない事が
寂しくてなりませんでした。なぜか、強く
思い出したのが、私が生まれた日、嬉しくて、
職員体育の野球で、ホームランを打ってくれたと
いう事で、生前、何度も話してくれました。

母は痴呆もなく、でも足腰が弱く、一人暮らしが
できない為、入院しています。父とは正反対の
性格ですが、感謝の気持ちを忘れず、親孝行、
していかなければ、と思いました。

改めて、親の有り難さを考える機会を与えて
下さり、有り難うございました。
本当に心に染みる文章でした。感服致しました。

No title

パパさん優しいですね
私は、両親健在でこれまた元気です
未だに 
親への依存度が高いかも知れません
(留守のときの犬の世話ですが・・・)
でも、主人の母が数年前急死し 夫のショックは大きかったようです
母の死の選択も自分で決意しなければならなかったし 母親というのは違うようです
男性には、口には出さない色々思いがあるんですよね
パパさんも今だから語れる思いなんでしょうね
うちの夫は、今月還暦なんです(年の差婚です)
年齢近いですか?(笑)

Re: 親とは

>やっこさん
そうですね。
やっこさんも御両親のことを書いておられましたね。

大事な時期を戦争で犠牲にした女性の多くは、本当に苦労されたことだと思います。
今のような娯楽も無く、ただただ働き続けてきたように思います。
そういう御苦労の上に、今の日本の繁栄が成り立っていることを思うと、感謝せずにはいられません。

私の両親は、既に亡くなってしまいましたが、やっこさんの御両親は健在ですので、やっこさんが健康で幸せであることによって、親孝行をしてあげてください。
偉そうなことを言って、申し訳ありません。

Re: No title

>流花・桃花ママさん
流花・桃花ママさんのお父さんも、既に亡くなられたのですね。
私の父は、私が高校2年の時に亡くなったのですが、ものすごいショックを受け、受験勉強に全く身が入らなくなってしまいました。
同時に、「生きる目的」が解らなくなってしまいました。
普段は気づきませんでしたが、私にとって、それほど父親の存在は大きかったのですね。

しかし、お母様は御健在とのこと、何よりだと思います。
偉そうなことを言って恐縮ですが、流花。桃花ママさんが健康で、幸せでいてくれることが、最大の親孝行だと思います。
私自身が親になり、子供のことを考えると、そのように思うのです。

Re: 父を思いました

>勘太・モモのママさん
いつも訪問していただき、本当にありがとうございます。

私自身は、母に心配ばかりかけて、全く親孝行できなかったと悔やんでいます。
私の母親は、表面的には「肝っ玉母さん」のような人でしたが、内面的には、優しくて情が深い人だったように思います。
世話好きの面もあり、自分の子供以上に、他人の子供の心配をする人でもありました。

私が悪いことをして学校の先生に殴られると、先生に「よく殴ってくださいました」と感謝する人でもありました。
今の親とは、かなり違いますね(笑)

勘太・モモのママさんが生まれた時のお父様の嬉しい気持ちは、私にも理解できます。
私の長女が生まれた時も、天に舞い上がるような嬉しさを感じました。
長女が生まれる前に、2回流産していたので、余計に嬉しかったのを覚えています。

勘太・モモのママさんのお母様が、これからも御健康であることを、心よりお祈り申し上げます。

Re: No title

>あらみすさん
あらみすさんの御両親は健在とのこと、何よりです。
あらみすさんが、犬の世話を頼んだとしても、御両親にとっては、それも幸せなことだと思います。
私の長女が犬の世話を頼みに来る時も、私は、娘に会えるということで、嬉しく思っています(笑)

私にとっては、父親の存在も凄く大きかったのですが、不思議と思い出すのは、母親のことが多いように思います。
言葉で上手く言えないのですが、母親に関しては、今でも大きな愛に包まれているような感じがしています。

私は、明日で60歳です。
あらみすさんの御主人とは同世代ですね。
きっと、共通の話題が多そうですね(笑)

No title

私も母を亡くして10年が過ぎました。
若い頃、ヤンチャをしていた私はかなり親不孝をしたと思います。
「親孝行したい頃には親はなし」と言いますが
本当にその通りで、あの時こうしてあげればなど、後悔ばかりです。
故人を思い出すだけでも、供養になるといいます。
今ではそれしかできません。

おめでとうございます!

カリーノパパさん、今日がお誕生日との事。
お誕生日、おめでとうございます。
今年のお誕生日は特別ですね。
これからの毎日に沢山の幸せが
降り注ぎますように、お祈り致します。

お母様は凛としておいででした

お誕生日おめでとうございます!

8日がお誕生日だったのですね。ハッピー・リタイアメントをし、これからまさに悠々自適の素敵な第二の人生をスタートされるのですね。

今後の計画を知り、「羨まし~い!」と思いました。本当にいいですね。

お母様のことを書いていらして、胸にジーンときました。日本の昔の女性は、ほとんどの人が自分の為ではなく、旦那様や子供の為に生きてきたのだと思います。

私も亡き母のことを思い出してしまいました。今となっては「もっとこうしてあげればよかった。」と悔むことばかりです。

お母様は、大変だったけれど、子供達がみな立派に成長してくれてお幸せだったと思います。数回しかお会いしていませんが、たたずまいに凛とした日本女性の美しさを感じました。素敵な方でしたね。

時々思い出して、懐かしむことで、いつもお母様を身近に感じることが出来ると思います。きっとお母様も嬉しく思われることでしょう。

Re: No title

>レグルスさん
レグルスさんのお母様も、既に亡くなられていたのですね。
「親孝行したい頃には親はなし」とは、まさに真理ですね。
ようやく少し余裕ができて、親孝行したいと思う時には、親は既に亡くなっていることが多いように思います。
レグルスさんが言われるとおり、親との思い出を、これからも大切にしたいと思います。

Re: おめでとうございます!

>勘太・モモのママさん
こんな年寄りの誕生日にお祝いの言葉をかけていただき、恐縮に存じます。
ママさんが言われるとおり、今年は、私にとって特別の誕生日となりました。
お心遣いに、心より感謝申し上げます。

Re: お母様は凛としておいででした

>リリーのママさん
ありがとうございます!
悠々自適とはいかないと思いますが、第二の人生を楽しく過ごしたいと思っていますv-410
物質的に豊かではなくても、日々、幸せを感じることが出来たら最高ですね。

リリーのママさんが、以前に訪れた場所も、今度は、我が家の近くになりますので、是非、遊びに来てください。

リリーのママさんの中に、私の母が「素敵な女性」として記憶されていることに、母も大変嬉しく思っているに違いありません。
そのお気持ちに、感謝・感謝です。
プロフィール

カリーノパパ

Author:カリーノパパ
●シェリー(シェルティー母):
 とっても優しい理想的な家庭犬
 アンジェの母親です

2016.4.18永眠、享年15歳11ヶ月

●アンジェ(シェルティー娘):
 ボール遊びと食事が大好きです
 我が家で生まれました

●カリーノ(ラフコリーの女の子):
 ショードッグ
  【主なタイトル】
 JKCチャンピョン
 FCIインター・チャンピョン 
 【主な賞歴】
 2009年アジアインターBOB
 2010年ジャパンインターBOB
 2010年近畿インターBOB
 2010年東北インターBOB 
 2010年ペディグリーアワード
 【資格】
 JKC訓練資格CDⅠ

2014.12.9永眠、享年8歳5ヶ月

●ミシェル(ラフコリーの男の子):
 陽気で優しく、人が大好きです
 ショードッグ
 【主なタイトル】
 JKCチャンピョン
 【主な賞歴】
 2011年神奈川インターWD
 2014年熱海愛犬クラブ展WD
 2014年山梨東ドッグコ展WD
 2015年沼津愛犬クラブ展WD
 【資格】
 JKC訓練資格CDⅠ

●カリーノパパ(人間):
 ミシェル達のお父さん
 本職は建築家(一級建築士)
 犬、スキー、ゴルフ、車、絵画が大好き
 1974年から大手建設会社の設計部にて勤務
 1986年に海外部門に異動し、14年間海外勤務
 内13年間をロンドンにて勤務
 2012年に大手建設会社を定年退職
 同年5月から河口湖でスローライフ開始

●訪問ありがとうございます。
4頭の犬と一緒に暮らしながら、日々感じたことを綴っています。
ミシェルとミシェルのお父さんであるカリーノパパが、記事やコメントを書いています。

●コメントは、ありがたく拝見し、返信させていただきます。

●リンクフリーです。貼ったり剥がしたり、ご自由にどうぞ。

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