本当に想定外だったのか?

最近のニュースで、「東京電力が、2008年4~5月に、福島第一原発に最大15メートル超の津波が到達する可能性があるとの試算をまとめていたにもかかわらず、具体的な対策をとっておらず、原子力保安院に報告したのは事故直前の今年3月7日であった」として厳しく批判されています。

もし、これが事実であるなら、3月11日に起きた津波は、決して想定外の災害とは言い切れないように思います。



この試算は、2006年の原発耐震設計審査指針改定に基づいて、原子力安全保安院が指示した再評価作業の一環として行なわれました。

三陸沖から房総沖において、1896年の明治三陸地震と同等の地震が起きたと想定して計算したところ、、福島第一原発に到達する津波の高さは、5、6号機において10.2メートル、1~4号機において8.4~9.3メートル、防波堤南側で15.7メートルなどという結果が得られていたそうです。

同様に、2008年12月に869年の貞観地震を想定した試算を行なったところ、福島第一に押し寄せる津波の想定高さは8.7~9.2メートルとなり、2009年に原子力安全保安院に報告していました。

これらの試算結果については、原子力安全保安院に報告されただけではなく、当然ながら、東電の当時の武黒副社長(原発担当)と武藤執行役員(原子力立地本部副本部長)にも報告されていましたが、2人とも具体的な対策を講ずることもなく、かつ取締役会で議論されることもなかったそうです。

東電自身は、福島第一原発の事故について「想定外の津波によって起こった」と言っていますが、実際には前述の試算があった事実が明らかになり、批判が寄せられているわけです。

また、こうした試算について公表しなかった原子力安全保安院の規制機関としての対応の在り方も問題になっています。



一方で、今回の事故の大きな原因の一つとして、原発の電源が全て喪失したことがあげられます。

そういう事態が起きる原因は、何も津波に限った話ではなく、例えば、原発を標的にしたテロなどによっても電源を全て喪失する可能性が考えられます。

実際、米国では、テロリストに乗っ取られた航空機が原子炉に突入し、原発が全電源を喪失した事態を想定したシミュレーションが定期的に実施されています。

元米国務省日本部長のケビン・メア氏は、著書「決断出来ない日本(文春新書)」の中で、次のように述べています。
 
「東電は大津波による福島第一原発の全電源喪失を『想定外』と言いましたが、米国の原発が電源喪失、中央制御室の機能喪失といった非常事態を想定した訓練を行っていることを知っていれば、とても『想定外』とは言えなかったはずです。日本では、平安時代の貞観津波の例を引いて、東電が大津波を想定できなかったのはおかしいという議論もなされていますが、米国の事例を見ていれば、何も貞観津波を持ち出すまでもないでしょう。」

全くその通りだと思います。

更に、メア氏は「米国は同時多発テロ事件以降、原発の安全性向上の為に、どう警備を強化しているかを日本政府、特に経産省や文部科学省に説明していたのだから、どういう事態によって電源喪失が起きるのか、国も東電も普段から研究しておくべきでした」と指摘しています。



少し前に、九州電力の「やらせ」が問題になったばかりですが、なんと北海道電力も同じ問題を起こしてしまいました。

北海道の高橋知事が、道議会や市民の反対を押し切り、泊原発の再開を決定してしまったわけですが、北海道電力による「やらせ」については、どのように考えているのでしょうか?

原子力の恐ろしさを身をもって体験しているはずの日本人が、このような愚かな行為をすることに、大きな疑問を感じます。



地震とは無縁と思われていたアメリカ東部で、8月23日にマグニチュード5.8の地震が発生しました。

この影響で、ワシントンやニューヨークでは、建物から人々が避難したり観光地への立ち入りが一時禁止されたりするなどの影響が出ました。

また、震源に近いノースアナ原子力発電所は、地震で電力の供給が止まり運転を停止しましたが、放射性物質の流出はなかったと言われています。

現在は電力の復旧作業を進め、原子力規制委員会が状況を監視しているとのことです。

東海岸で起きた地震としては、1944年のM5.8の地震や1897年のM5.9の地震と並び過去最大級の地震だということですが、今回の地震も決して想定外のものではなかったのです。



首都ワシントンの中心部にそびえるワシントン記念塔は、その先端部分にひびが入っていることが判明し、国立公園局は、記念塔を無期限で閉鎖しました。

国立公園局は、記念塔内部を詳しく点検した上で一般公開を再開するかどうかを決めるそうです。

日本に比べると、耐震性が低い建物が多いアメリカですが、大きな被害が出なかったのは、不幸中の幸いと言えるかもしれません。



日本各地の原発で、プラント用の配管工事の専門家として20年間も従事されていた平井憲夫という方がおられます。

平井さんは、放射能による癌で亡くなられたのですが、生前に「原発とは、どういうものか知って欲しい」と遺された文章を御紹介させていただきます。

http://www.iam-t.jp/HIRAI/pageall.html



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想定外?

今まで、福島第一原発の事故は津波によるもので、仕方ないのかなと思っていましたが、今回の記事を読んで、決してそうではないことを知り、大変驚きました。
同時に、東電の安全対策について、大きな疑問を感じてしまいます。
これで、電気料金を値上げするなんて、絶対に許せませんね。

平井憲夫さんの文章を読んで、原発の恐ろしさを痛感しました。
原発で実際に長年働いていた平井さんが、遺書として残された言葉だけに、とても心に響きました。
改めて、原発の無い世界が来ることを願わずにはいられません。

No title

国会で津波に対する質問があった時に、政府も東電も安全と言っていたのは知っていましたが、実際には試算で危険性があることが判っていたのですね。
こういう事実が隠されていたとなると、政府や電力会社の言うことは、鵜呑みにしない方が良いと思えます。
平井さんの遺言は、死を覚悟した人間の言葉だけに、凄く重みを感じます。
やはり、原子力や核などというものは、一刻も早く無くすべきですね。

安全対策

試算で得られた結果が、そのまま実際の津波となって被害をもたらしたように思います。
ということは、やはり想定外などではなく、人災と言って差し支えないのでは。
メア氏が指摘するように、国や電力会社は、自然災害やテロなどに対して、どの程度真剣に対策を考えているのでしょうね?
九州電力や北海道電力のやらせ問題を考えると、とても彼らの言うことを、そのまま信じる気にはなれませんが。

Re: 想定外?

>タンタンさん
タンタンさんの言われるとおりですね。
私も電気料金の値上げには反対です。
そして、電力会社も完全な民営化を図って、競争させるべきだと思います。

私も平井さんの文章を読んで、原発の危険性に愕然としました。
やはり、原発の無い世界が望ましいと思います。

Re: No title

>デュークパパさん
試算の結果、危険性があることが判っていたにもかかわらず、対策が講じられなかったのには、大きな疑問と不信を感じます。
デュークパパさんが言われるとおり、政府や電力会社の言うことを鵜呑みにせず、別のルートから正確な情報を得る必要があるかもしれませんね。
人間が制御できる限度を超えた核や原子力については、出来るだけ早く全廃する必要があるように思います。

Re: 安全対策

>ルイーズさん
3月11日の津波は、ほぼ試算した数値であったことに驚きます。
恐らく、試算した結果が実現する可能性が低いと考えたのでしょうが、同時に無駄なコストを費やしたくないという思いがあったものと推測します。
しかし、結果的には、対策を講じる為のコストの何千倍もの被害が発生し、東電は、その補償をしなければならないわけです。
今更ながら、メア氏の言葉が重いですね。

自助努力

試算で危険性が解っていたにもかかわらず、対策を打たず、結果として大きさ事故を発生してしまった東電が、10%もの値上げをして電力利用者の生活を更に苦しめるなんて許しがたいですよ。
値上げする前に、まず顧問の廃止、役員全員の首切り、社員の給与カット、社有資産の売却等をやるべきではないでしょうか。

放射能汚染

ついに原発の作業員が、白血病で亡くなったというニュースが流れました
更には、福島の34地点で、チェルノブイリの強制移住区分を超える汚染濃度が観測されたというニュースもありました。
セシウムの半減期は30年と言われていますが、いったいどうなっちゃうのでしょうか?

Re: 自助努力

>tonyさん
tonyさんが言われるとおりですね。
同じような考えの人は多く、中には民事再生法の適用を指摘する人もいるほどです。
その人は、「民事再生法を適用したJALの場合でも、飛行機が飛ばなかったことはないのだから、東電だって電力がストップすることはない」と言っておられました。

Re: 放射能汚染

>momoさん
そうですね。
カリーノパパの会社からも大勢の社員が福島に行っているので、とても心配です。
福島の34の地点で、チェルノブイリの強制移住区分を越える汚染濃度が観測されたというニュースにも大変驚きました。
日本政府や東電は、かなり見通しが甘いように思えます。
むしろ、80キロ圏内を避難区域と発表したアメリカ政府の方が、信用できる気がします。

活断層

今まで問題ないと考えられていた福島第一原発近くの活断層が、3月11日の地震でずれ、耐震計算で無視できないことが判明したとのニュースを見ました。
これも想定外の一つなのかもしれませんが、似たようなことが起きる可能性はゼロではないと思います。
もし、想定外のことがあると、今回の福島第一原発のような事故に結びつく危険性があり、そうなると人間の手ではコントロールできなくなる原子力の恐ろしさに、とても大きな不安を感じます。

Re: 活断層

>lassieさん
自然界では、人間の想像を超えることや、人間の思考を超えることが起きますよね。
それだけに、lassieさんが言われるように、一旦事故が起きたら、人間が制御できなくなる原子力は、本当に脅威以外の何物でもありません。
そういう観点からも、できるだけ速やかに原発や核が無くなることを願います。

irresponsible

序列は、恣意の優先順位を表している。
責任体制は、意思の優先順位を表している。
意思のあるところには責任がある。殺意を抱けば殺人罪である。
我が国は、序列体制の国で、順位に関する責任感覚を伴わない。
国がひっくり返っても、責任者は出てこない。とかく、この世は無責任。

http://www11.ocn.ne.jp/~noga1213/
http://page.cafe.ocn.ne.jp/profile/terasima/diary/200812

Re: irresponsible

> nogaさん
大変興味深いコメントを頂戴し、誠にありがとうございました。
教えていただいたURLにもアクセスして、文章も拝見いたしました。
読むほどに「なるほど」と感心いたしましたが、次のような内容に、「そのとおりだな」と感じました。

英米人は、未来形の「あるべき姿」に基づいて、現実対応を考える。
だから、議論が有益である。
現実対応ばかりの日本人には、現実からの飛躍がない。
誰が考えても結果が同じになる。そして、閉塞感を伴う。

官僚や会社人間は序列を作って相互に利益を守りあいます。
日本人は、世界観 (非現実) というものを持っていないので、理想の国を作る考えもなく、その国を守る考えもないようです。
日本人は、個人的に海外に雄飛することにも消極的であります。
外国に出るときは、軍隊とか、企業戦士とかいった、序列社会の一員として外国に派遣され、序列に基づいた協力に力を発揮します。
異民族政府の下では、日本人の序列社会作りは成功しません。

W.チャーチルの <第二次世界大戦回顧録> の中には、以下のような日本人の描写が記されています。
日本人は無理な要求をしても怒らず、反論もしない。
笑みを浮かべて要求を呑んでくれる。
しかし、これでは困る。
反論する相手をねじ伏せてこそ政治家としての点数があがるのに、それができない。
日本人は外交を知らない。
プロフィール

カリーノパパ

Author:カリーノパパ
●シェリー(シェルティー母):
 とっても優しい理想的な家庭犬
 アンジェの母親です

2016.4.18永眠、享年15歳11ヶ月

●アンジェ(シェルティー娘):
 ボール遊びと食事が大好きです
 我が家で生まれました

●カリーノ(ラフコリーの女の子):
 ショードッグ
  【主なタイトル】
 JKCチャンピョン
 FCIインター・チャンピョン 
 【主な賞歴】
 2009年アジアインターBOB
 2010年ジャパンインターBOB
 2010年近畿インターBOB
 2010年東北インターBOB 
 2010年ペディグリーアワード
 【資格】
 JKC訓練資格CDⅠ

2014.12.9永眠、享年8歳5ヶ月

●ミシェル(ラフコリーの男の子):
 陽気で優しく、人が大好きです
 ショードッグ
 【主なタイトル】
 JKCチャンピョン
 【主な賞歴】
 2011年神奈川インターWD
 2014年熱海愛犬クラブ展WD
 2014年山梨東ドッグコ展WD
 2015年沼津愛犬クラブ展WD
 【資格】
 JKC訓練資格CDⅠ

●カリーノパパ(人間):
 ミシェル達のお父さん
 本職は建築家(一級建築士)
 犬、スキー、ゴルフ、車、絵画が大好き
 1974年から大手建設会社の設計部にて勤務
 1986年に海外部門に異動し、14年間海外勤務
 内13年間をロンドンにて勤務
 2012年に大手建設会社を定年退職
 同年5月から河口湖でスローライフ開始

●訪問ありがとうございます。
4頭の犬と一緒に暮らしながら、日々感じたことを綴っています。
ミシェルとミシェルのお父さんであるカリーノパパが、記事やコメントを書いています。

●コメントは、ありがたく拝見し、返信させていただきます。

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