クメール織物



上の建物は、カンボジアの象徴とも言える「アンコール・ワット」です。

世界遺産である「アンコール遺跡」の一つであり、ヒンドゥー教の寺院です。

大伽藍と美しい彫刻を特徴とし、カンボジア国旗にも描かれています。

12世紀前半、アンコール王朝のスーリヤヴァルマン2世が、30年を超える歳月をかけて建設しました。

12世紀のアジアで、このような巨大な石造建築が造られたことに驚嘆します。



カンボジアは、かって世界でも有数の染織技術を持った国でしたが、20数年にも及ぶ内戦の影響で、優れた技術を持った織り手達の多くが亡くなり、伝統的絹織物である「クメール織物」なども失われかけていました。

そんなカンボジアに京都の友禅職人だった森本喜久男さんが行き、クメール織物の復興と活性化の為に「IKTT(クメール伝統織物研究所)」を設立し、活躍されていることを知りました。

森本さんは、タイで初めてクメール織物を見た時、その美しさに圧倒され、一瞬のうちに魅了されたそうです。

そして、「同じ布の世界に生きる者として、自分自身も素晴らしい布に携わりたい」と思ったのが活動のきっかけだったそうです。



驚いたことに、森本さんはクメール織物を復興させる為に村まで造られたそうです。

森本さんは、その理由を次のように語っておられます。

良い布を作る為には良い糸が必要で、良い糸を作るには良い蚕が必要で、良い蚕を育てる為には良い桑の木が必要で、良い桑の木の為には良い土が必要。

以前のカンボジアは全てが失われた状態だったので、土台から整える必要がああったのです。

織り手さん達の環境整備も必要で、織り手さん達の多くは小さい子供がいます。

織り機の横には小さな子供が寝れるスペースを設け、村の中には小学校も造り、もう少し大きい子は学校に通えるようにしました。

良い布を作る為には技術を持っていることも必要だが、織り手さん達が安心して丹精を込め、愛情を込めて作ることができて、ようやく最高の布ができあがるのです。



森本さんは、昔から「海外で働きたい」と思っていた訳ではないそうです。

プラティープさんというタイの女性が来日された際に森本さんの工房を訪れ、翌年、森本さんが彼女を訪ねてタイに行ったのが始まりだったそうです。

森本さんが30歳を過ぎた頃で、京都でこのまま友禅職人をやっていくことに漠然とした疑問を感じていた時期でした。

プラティープさんの所で働く幼稚園の先生に「今やっていることをタイでやったらいいのでは?」と言われ、それを聞いて「筆一本あればどこでも仕事ができる」と気づき、一気に世界が広がったそうです。



最初はタイでボランティア活動に従事したそうですが、様々な国の人がおり、ミーティングは英語だったので、森本さんは本格的に英語の勉強を始めました。

その頃、シンガポールに行った際、シンガポールの人達がシンプルな英語で会話しているのを知り、「自分の知ってる単語だけを使って、簡潔に伝える」ということを意識してから英語を話すのが楽になったそうです。

タイ語に関しても同じで、まずはひたすら話すことから始め、気になる表現は辞書で調べ、繰り返し使うようにしたそうです。

クメール語に関しては、当初、それほど勉強する気はなく、通訳を雇っていたそうです。

しかし、通訳が森本さんの言いたいことを一部(ネガティブな内容)伝えていないことに気づき、クメール語の勉強を始めました。

歳をとられてから、英語、タイ語、クメール語を勉強された森本さんの努力には頭が下がります。



森本さんは、「何事も考え方一つで大きく変わる」と言われます。

日本の学生がカンボジアに来た時、「カンボジアに来る為にコンビニでアルバイトをしたが、大変だった」と話したそうです。

森本さんは「その考え方はもったいない。将来、もしかしたらコンビニのオーナーになるかもしれない。その視点を持って働いたら得るものも違うし、きっと楽しい」と言います。

森本さん自身、10代の頃、タイル貼りの仕事をしていたことがあったそうです。

カンボジアで村を造る際、現地の人にタイルの貼り方を教える事ができ、当時の経験が役立ったといいます。

森本さんは、「何をやるにも遅すぎることはない」とも言います。

森本さんが村を造り始めたのは、50歳を超えてからです。

森本さんが次に挑戦したいのは、「織物博物館」を造ることだそうです。

森本さんは、「20世紀は、儲け第一、効率優先、薄利多売の大量生産の時代だったが、21世紀は、全て自然で作り、大量生産ではなく良い物を少量作る時代」と語っておられます。

ミシェルのお父さんも「そのとおり」と思いますし、もう自動車の販売台数や売上高の多さを競う時代ではないように思います。



★ランキングに参加中です。
↓ポチッと押して下さると嬉しいです♪

スポンサーサイト

テーマ : 生き方
ジャンル : ライフ

コメントの投稿

非公開コメント

No title

私はカンボジアに行ったことがありませんが、アンコールワットは是非見てみたいと思っています。
日本の友禅職人だった森本さんが、カンボジアでクメール織物の復興をされていることを知って驚きました。
しかも村や学校まで造って織り手さん達の生活環境まで整えてあげるというのが凄いと思います。
森本さんの「21世紀は、全て自然で作り、大量生産ではなく良い物を少量作る時代」という言葉にも感動しました。

いやぁ~

何時も内容の深い、読み応えのある記事を有難うございます。

かつての日本が、物作りにいかんなく才覚を発揮し、その名を轟かした様に、またその時代に戻って、世界に誇る製品を作って欲しいですね。

ご近所の国が作る安い、悪い、怖い(健康被害)製品が、世界に流通するようでは残念です。

Re: No title

>KENTさん
日本の友禅職人だった森本さんがカンボジアでクメール織物の復興をされているなんて、本当に驚きますよね。
しかも村や学校まで造って織り手さん達の生活環境まで整えてあげるというのですから、更に驚きます。
日本人が海外に出て、その国の為になることをされているのは、とても誇らしく感じます。
日本政府はお金をばら撒くだけですが、その国の為になっているかは疑問であることとは大違いです。
森本さんの「21世紀は、全て自然で作り、大量生産ではなく良い物を少量作る時代」という言葉も素晴らしいですよね。

Re: いやぁ~

>ワンコが好きさん
読んでいただき、ありがとうございます。
仰るように、日本人の才能を生かして本当に良いものを作っていただきたいですね。
安かろう悪かろうや、粗製乱造の時代は、もう終わりにしてもらいたいです。
プロフィール

カリーノパパ

Author:カリーノパパ
●シェリー(シェルティー母):
 とっても優しい理想的な家庭犬
 アンジェの母親です

2016.4.18永眠、享年15歳11ヶ月

●アンジェ(シェルティー娘):
 ボール遊びと食事が大好きです
 我が家で生まれました

●カリーノ(ラフコリーの女の子):
 ショードッグ
  【主なタイトル】
 JKCチャンピョン
 FCIインター・チャンピョン 
 【主な賞歴】
 2009年アジアインターBOB
 2010年ジャパンインターBOB
 2010年近畿インターBOB
 2010年東北インターBOB 
 2010年ペディグリーアワード
 【資格】
 JKC訓練資格CDⅠ

2014.12.9永眠、享年8歳5ヶ月

●ミシェル(ラフコリーの男の子):
 陽気で優しく、人が大好きです
 ショードッグ
 【主なタイトル】
 JKCチャンピョン
 【主な賞歴】
 2011年神奈川インターWD
 2014年熱海愛犬クラブ展WD
 2014年山梨東ドッグコ展WD
 2015年沼津愛犬クラブ展WD
 【資格】
 JKC訓練資格CDⅠ

●カリーノパパ(人間):
 ミシェル達のお父さん
 本職は建築家(一級建築士)
 犬、スキー、ゴルフ、車、絵画が大好き
 1974年から大手建設会社の設計部にて勤務
 1986年に海外部門に異動し、14年間海外勤務
 内13年間をロンドンにて勤務
 2012年に大手建設会社を定年退職
 同年5月から河口湖でスローライフ開始

●訪問ありがとうございます。
4頭の犬と一緒に暮らしながら、日々感じたことを綴っています。
ミシェルとミシェルのお父さんであるカリーノパパが、記事やコメントを書いています。

●コメントは、ありがたく拝見し、返信させていただきます。

●リンクフリーです。貼ったり剥がしたり、ご自由にどうぞ。

カレンダー
03 | 2017/04 | 05
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 - - - - - -
最新記事
最新トラックバック
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード
FC2カウンター
人気ブログランキング