戦争の陰で


中東では悲惨な戦争が続いており、その犠牲となった難民が大きな問題となっています。

一方、日本の沖縄では、再び米軍に属する男性によって若い日本人女性が殺害されるという悲劇が起きてしまいました。

太平洋戦争末期においては、陸軍の隼戦闘機のパイロットだったミシェルのお父さんの叔父は、敵艦に体当たりする特攻隊員になりました。

まさに出撃しようとした時、戦争が終結し、幸いにも一命をとりとめました。

しかし、戦艦大和の乗組員だったミシェルのお母さんの叔父は、出撃途中で米軍機の猛攻を受け、戦死してしまいました。

戦争及び戦争の陰で、幾多の悲劇が繰り返されるのは、誠に悲しい限りです。

先日、ミシェルのお家に来て下さったホーリーちゃんのパパさんが、島根県を旅行された際に得た戦争に関する貴重な情報を教えて下さったので、本日は、その概要を御紹介いたします。



上の写真は、1927年8月24日に島根県美保関沖で発生した美保関事件を説明した銘板です。(艦船は、事故で沈没した蕨)

当時の日本海軍は、ワシントン海軍軍縮条約の為に保有主力艦艇の総排水量を制限されていました。

そこで、加藤寛治連合艦隊司令長官の「訓練に制限無し」との考えの下、1926年11月から将兵に連日激しい訓練を課しました。



1927年8月24日に行われた美保関沖での徹夜の無灯火演習では、第五戦隊(司令官・清河純一中将、第1小隊《加古、古鷹》、第2小隊《神通、那珂》)と第二水雷戦隊(旗艦夕張、第22駆逐隊、第26駆逐隊、第27駆逐隊、第29駆逐隊、第30駆逐隊《駆逐艦20隻》)は乙軍を編制し、対する甲軍として加藤寛治連合艦隊司令長官が率いる第一艦隊(戦艦長門、陸奥、伊勢、日向)と第二艦隊(司令長官・吉川安平中将:戦艦《金剛、榛名》、軽巡4隻《鬼怒、阿武隈、龍田、由良》)が編制されました。

午後11時過ぎ、第五戦隊第二小隊(神通、那珂)は、甲軍の戦艦部隊を敵と見立てて接近しましたが、戦艦伊勢等から照射を受けてしまいました。

探照燈に捉えられた神通は攻撃の機会を失ったと判定され、那珂と共に右へ旋回しました。

そして、神通と那珂は、後続していた第一小隊(加古、古鷹)及び第26駆逐隊、第27駆逐隊(司令長官・倉田弘保中佐:菱、蕨、葦、菫)の一群に突っ込んでしまいました。

その結果、神通と第27駆逐隊2番艦の蕨が衝突してしまい、ボイラーを粉砕された蕨は爆発を起こし、真っ二つに分断されて沈没してしまったのです。

それを避けようとして左に転舵した那珂は駆逐隊3番艦の葦と衝突し、那珂は艦首を、葦は艦尾を大破してしまいました。

結局この事故で、蕨は92名、葦は27名もの殉職者を出してしまいました。(蕨艦長・五十嵐恵少佐は享年38歳)

海軍及び周辺の住民が必死に探索作業を行いましたが、収容された遺体は数体のみで、殆どの遺体は蕨と共に130mの海底で今も眠っています。

美保関事件は、過酷な軍事訓練中の事故ということで、「海の八甲田山」とも言われています。



上の人物は、加藤寛治連合艦隊司令長官(海軍大将)です。

福井県福井市出身で、海軍大尉だった加藤直方の長男として生まれました。

加藤連合艦隊司令長官は、戦争に備えて部下達に過酷な訓練を強いましたが、事故は彼の責任と言うよりも、戦争という化け物が引き起こした悲劇と言えるようにも思います。



上の写真は、蕨と衝突して艦首を大破した神通です。

海軍省法務局が業務上過失・艦船覆没・業務上過失致死罪で、神通の艦長であった水城圭次海軍大佐を起訴し、横須賀鎮守府軍法会議が開催されましたが、判決前日の12月26日に水城大佐は自宅で自決しました。(享年44歳)

責任の重さを感じ、自ら命を絶った水城大佐の潔さは、悪事を働いても、頑なに権力の座にしがみつく今の政治屋や企業の役員などとは雲泥の差です。

海軍省は特旨により、水城大佐の海軍少将進級を計画しましたが、水城大佐の遺族が進級を辞退しました。

美保関事件は、実際のところ、海軍の意向で半世紀近く隠ぺいされていたのですが、亡くなった五十嵐少佐の御子息が克明に調査をされ、事件の全容が明らかになったそうです。


余談ではありますが、戦争法案が強行可決されたことによって、今の日本にも同じような悲劇が起きる可能性が高くなりました。

戦争の開始を命令したり、平和な国を戦争ができる国に変えたりして、戦地に兵士を送り込むのは、いつの時代でも、自分自身は戦争に行かない権力者達です。

口では勇ましいことを言いながら、戦争中は一番安全な所に身を置いている権力者達は、何とも許しがたい輩だと思うのは、ミシェルのお父さんだけでしょうか。



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No title

この石碑を見たとき「え・・・・・・」と驚きの一言でした。八甲田山の事件は書籍や映画で知っておりましたが、海でも同じようなことがやはり起きていたんですね。
石碑の中に「おりから台風の接近で雨が激しく降り強風に波も逆巻く中両軍灯火を消して時速52キロ全速力で実戦さながらの訓練であった」と記載されております。いかなる状況下でも行動しなくてはならないのはわかりますが、司令長官が訓練を続行するのは、やはり戦争は人々の思考能力を狂わせてしまうものですね。
ある講演会で「美保関のかなたへ」の話をすると出席者の一人が「両親は境港の出身で、両親からこの話を聞いたことがありました。周辺の住民は捜査に協力したそうです。このような悲惨な事件とは知りませんでした」と言われました。
世間には発表せず、艦長の子息が書籍で出版するまで全容は明らかにされなかったようです。
隠蔽することは今も昔も同じですね?

No title

私も八甲田山のことは知っていましたが、美保関事件のことは知りませんでした。
現代でも潜水艦と漁船の衝突事故などがありましたが、太平洋戦争前に、こんなに大きな衝突事故があったことを驚きました。
しかも実戦ではなく、訓練中に多くの乗組員が亡くなったのですから、余計に痛ましく思います。
しかし、訓練中の事故とはいえ、これも戦争による悲劇と言えるのではないでしょうか。
亡くなられた方々には、心よりご冥福をお祈り申し上げます。

Re: No title

>ホーリーおじさん
カリーノパパも八甲田山の事件は知っていましたが、美保関事件のことは知りませんでした。
台風接近の最中、無灯火で、全速力で実戦さながらの訓練なんて、極めて過酷な訓練を行ったことに驚きました。
日露戦争や太平洋戦争の頃は、公になっていない似たような事件がいっぱいあったのでしょうね。
今の自衛隊でも色々あるのでしょうが、特定秘密法が強行可決されて、闇の中に葬り去られてしまうのが怖いです。

Re: No title

>デュークパパさん
日本海軍同士の艦船が衝突し、119名もの人が亡くなったというのですから、本当に驚きました。
しかも実戦ではなく、訓練中に起きたというのですから、余計に痛ましいですよね。
しかし、実際の戦争では、遥かに多くの方々が亡くなっています。
そんな悲惨な戦争に、再び日本を巻き込むようなことがあっては絶対にいけないと思います。
プロフィール

カリーノパパ

Author:カリーノパパ
●シェリー(シェルティー母):
 とっても優しい理想的な家庭犬
 アンジェの母親です

2016.4.18永眠、享年15歳11ヶ月

●アンジェ(シェルティー娘):
 ボール遊びと食事が大好きです
 我が家で生まれました

●カリーノ(ラフコリーの女の子):
 ショードッグ
  【主なタイトル】
 JKCチャンピョン
 FCIインター・チャンピョン 
 【主な賞歴】
 2009年アジアインターBOB
 2010年ジャパンインターBOB
 2010年近畿インターBOB
 2010年東北インターBOB 
 2010年ペディグリーアワード
 【資格】
 JKC訓練資格CDⅠ

2014.12.9永眠、享年8歳5ヶ月

●ミシェル(ラフコリーの男の子):
 陽気で優しく、人が大好きです
 ショードッグ
 【主なタイトル】
 JKCチャンピョン
 【主な賞歴】
 2011年神奈川インターWD
 2014年熱海愛犬クラブ展WD
 2014年山梨東ドッグコ展WD
 2015年沼津愛犬クラブ展WD
 【資格】
 JKC訓練資格CDⅠ

●カリーノパパ(人間):
 ミシェル達のお父さん
 本職は建築家(一級建築士)
 犬、スキー、ゴルフ、車、絵画が大好き
 1974年から大手建設会社の設計部にて勤務
 1986年に海外部門に異動し、14年間海外勤務
 内13年間をロンドンにて勤務
 2012年に大手建設会社を定年退職
 同年5月から河口湖でスローライフ開始

●訪問ありがとうございます。
4頭の犬と一緒に暮らしながら、日々感じたことを綴っています。
ミシェルとミシェルのお父さんであるカリーノパパが、記事やコメントを書いています。

●コメントは、ありがたく拝見し、返信させていただきます。

●リンクフリーです。貼ったり剥がしたり、ご自由にどうぞ。

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