新国立競技場の舞台裏



新国立競技場の国際デザインコンペで最優秀賞に選ばれ、インパクトが非常に強かったザハ・ハディド氏の案が白紙撤回され、新たにデザイン・ビルド(設計施工)方式のデザインコンペが行われました。

その結果、梓設計及び大成建設と組んだ建築家の隈研吾氏のA案が採用されることになりました。(隈研吾氏と大成建設の村田社長とは東大の同級生)

テレビや新聞が、連日、このニュースを伝えていますが、どれも表面的で、金太郎飴のように同じ内容です。



ミシェルのお父さんは、このニュースを知って、直ぐに次のような疑問を感じました。

1.何故、たった2グループしか参加しなかったのか?(前回は、46案の応募)

2.何故、建設業界最大手の鹿島建設は参加しなかったのか?

3.何故、スタジアム設計経験が無い隈研吾氏が参加できたのか?(前回の国際デザインコンペでは、スタジアム設計経験者だけが参加できました)

しかし、このような内容を伝える報道機関は皆無です。

表面的なことだけを伝え、問題の本質を伝えられない最近の報道機関の一例かもしれません。



そこで、ミシェルのお父さん独自で、舞台裏を探ってみました。

まず、1については、次のようことが想定されます。

●前回の国際デザインコンペのゴタゴタで、設計期間も工事期間も余裕がなくなった。

●建設会社に工事費と工期のリスクを負わせるデザインビルド方式のコンペを採用した。

●積極的に参加を表明したのは1グループのみで、他の1グループ(特に建設会社)はコンペの体裁を整える為に参加を要請されたのかもしれない。

ここで一番問題になるのが、「デザインコンペに参加する設計者は、建設会社と組まなければならない(デザインビルド)」という条件です。



日本の建設会社で、新国立競技場のような大規模なスタジアムの工事を行うことができるのは、大手5社と準大手5社位ではないかと思います。

それらの建設会社と組めればデザインコンペに参加できるわけですが、工事費も工期も厳しくなった新国立競技場の建設に参画したいと思う建設会社は極めて少ないようです。(加えて、建設業界では、大成建設の受注が予想されていたようです)

デザインコンペの参加条件を満たす為、日本の大手建設会社に連絡をとった国内及び海外の建築設計事務所は多かったようですが、応じてくれる建設会社は殆どいなかったようです。

その結果、工事受注に最も熱心と言われ、前回のザハ・ハディド案で本体部分の工事を請け負うことになっていた大成建設と組んだ隈研吾氏と、前回のザハ・ハディド案で屋根部分の工事を請け負うことになっていた竹中工務店と組んだ伊東豊雄氏だけが、今回のデザインコンペに参加することができたという訳です。

もし、このような結果を意図的に導き出せる人物がいるとすれば、その人は天才的な「策略家」か「悪(ワル)」に違いありません。



続いて、2については、次のようなことが想定されます。

●福島第一原発の汚染水対策として「凍土遮水壁工事」に深く関わっており、リスクが大きい他の工事は避けたい。

●会社の決算に大きな影響を与えかねないアルジェリア道路工事の工事費の精算が未遂である。(訴訟中)

●国内の建設需要が回復して多忙を極め、無理をしてまでリスクが大きい工事を受注する必要が無い。

実際のところ、東日本大震災の復興需要で公共工事が増え、加えてオリンピック特需もあって、日本の建設会社は工事を選んで受注できる状況にあるようです。



新国立競技場の受注に一番熱心な大成建設が入ったグループの案が選ばれたことで、政府を始め、オリンピック関係者はひと安心したことでしょうが、まだまだ難問は山積しているように思います。

その一つが、「果たして、新しいデザインで豊富に使うことになった木材を調達できるのか?」という疑問です。

採用されたA案は「国産スギを多用」とデザインの特徴をアピールしていますが、現段階で調達ルートや価格まで精査できている可能性は低いように思えます。

オリンピックに使用される木材は「森林認証」を取っていることが世界標準になっていますが、日本には「森林認証」を取得した森林が極わずかしかないのです。

森林認証とは、1990年頃にできた環境保護の為の制度の一種で、森林の経営方針や管理・作業方法などを第三者機関が審査し、合格すると認定されるものです。

そして、認証を受けた森林から出荷された木材は、製材や流通過程でも認証された会社を通す必要があるのです。

国際的には森林管理協議会(FSC)の認証や各国の認証制度を相互認証する組織(PEFC)がありますが、日本は、PEFCへの加盟準備中という段階です。

ロンドンオリンピックを始め、歴代の開催国で当然のように使用されてきた森林認証木材が、万一、東京オリンピックで使用されない場合は、世界中から批判を浴びるかもしれません。

日本には、FSC認証森林が約40万ヘクタールしかありませんが、全ての認証森林で木材生産している訳ではなく、出荷されている認証木材量は極わずかです。

国内の林業業者からの強い要望もあって木材の使用を義務付けたデザインコンペでしたが、現時点では、認証を取得した国産木材を新国立競技場に大量に使用するのは困難が予想され、外国産の木材に頼ることになるかもしれません。



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No title

テレビや新聞では、A案が採用されたことしか報道していないので、カリーノパパさんの記事を興味深く読ませていただきました。
お陰様で、たった2グループしか応募できなかった事情が解りましたが、このような結果になった背景には、まだまだドロドロした利権がらみの事情があるように感じました。

Re: No title

>KENTさん
読んでいただき、ありがとうございます。
KENTさんの推察どおり、新国立競技場は、利権がらみのドロドロしたものが水面下に潜んでいるように思います。
減額されたとはいえ、過去のオリンピックスタジアムと比べると遥かに高額なスタジアムです。
オリンピック後の維持管理費も巨額になるでしょうが、将来の負の遺産にならないことを願います。

No title

私も利権がらみのきな臭さを感じます。
一例をあげると、今回参加した建築課2名、大手ゼネコン4社の社長、国交省御用達とも言われる審査を行った人達が、殆ど東大OBで、かつ同じ研究室出身者が多いというのは、公正を旨とするべきデザインコンペでは何とも奇奇怪怪です。

No title

センセーショナルなデザインだったザハ案に比べると、A案もB案も普通っぽいデザインで、どちらが選ばれても大差ないように思います。
しかし、事前に「どうせ大成が受注する」と噂されていましたが、その大成が噂どおり受注したとなると、やはりきな臭いですね。
デザインの審査でも、採点の前に審査委員長が意思統一を行ったと言われていますが、それも変な話ですよね。

No title

今回選ばれた隈氏のA案に対して、ザハ氏がコピーと訴えており、B案の伊東氏も「A案は、ザハ氏に訴えられる可能性がある」と指摘しています。
ザハ案と隈案は、外見こそ違いますが、二つの図面を重ね合わせると、柱の位置やスタンドの角度がぴったりと一致するそうです。
これを偶然の一致というのは、やはり無理があるように思います。
大成建設は、ザハ案をもとに既に資材を発注していたと言われていますが、そんなこともA案の設計に影響を及ぼしたのかもしれません。

Re: No title

>ジョンパパさん
今回参加した建築家2名、大手ゼネコン4社の社長、国交省御用達とも言われる審査を行った人達が、殆ど東大OBで、かつ同じ研究室出身者が多いというのは、なんとも胡散臭いコンペですね。
しかし、B案の設計者である伊東氏は、審査委員が受注に極めて熱心だった大成建設グループを選ぼうとする意図を感じていたようですね。
カリーノパパも、そんな意図を感じました。

Re: No title

>MACさん
確かにザハ案と比べると、無難ではあるけど、世界にアピールできるようなデザインではないように思います。
建設業の大手5社以外は「どうせ大成が受注する」と思っていたようですし、大成建設以外の大手4社も同様に思っていたのではないでしょうか。
デザインの審査で、採点の前に審査委員長が意思統一を図るなんて、通常は有り得ないことだと思います。

Re: No title

>コンコンさん
ザハ案と隈案を重ね合わせると、柱の位置やスタンドの角度がぴったりと一致するというのは、コピーと言われても不思議ではないように思います。
こういうことに日本は甘いですが、欧米は厳しく、ザハ設計事務所は徹底的に究明してくると思います。
大成建設がザハ案をもとに既に資材を発注していたということで、設計を変えることが難しかった可能性も考えられます。
プロフィール

カリーノパパ

Author:カリーノパパ
●シェリー(シェルティー母):
 とっても優しい理想的な家庭犬
 アンジェの母親です

2016.4.18永眠、享年15歳11ヶ月

●アンジェ(シェルティー娘):
 ボール遊びと食事が大好きです
 我が家で生まれました

●カリーノ(ラフコリーの女の子):
 ショードッグ
  【主なタイトル】
 JKCチャンピョン
 FCIインター・チャンピョン 
 【主な賞歴】
 2009年アジアインターBOB
 2010年ジャパンインターBOB
 2010年近畿インターBOB
 2010年東北インターBOB 
 2010年ペディグリーアワード
 【資格】
 JKC訓練資格CDⅠ

2014.12.9永眠、享年8歳5ヶ月

●ミシェル(ラフコリーの男の子):
 陽気で優しく、人が大好きです
 ショードッグ
 【主なタイトル】
 JKCチャンピョン
 【主な賞歴】
 2011年神奈川インターWD
 2014年熱海愛犬クラブ展WD
 2014年山梨東ドッグコ展WD
 2015年沼津愛犬クラブ展WD
 【資格】
 JKC訓練資格CDⅠ

●カリーノパパ(人間):
 ミシェル達のお父さん
 本職は建築家(一級建築士)
 犬、スキー、ゴルフ、車、絵画が大好き
 1974年から大手建設会社の設計部にて勤務
 1986年に海外部門に異動し、14年間海外勤務
 内13年間をロンドンにて勤務
 2012年に大手建設会社を定年退職
 同年5月から河口湖でスローライフ開始

●訪問ありがとうございます。
4頭の犬と一緒に暮らしながら、日々感じたことを綴っています。
ミシェルとミシェルのお父さんであるカリーノパパが、記事やコメントを書いています。

●コメントは、ありがたく拝見し、返信させていただきます。

●リンクフリーです。貼ったり剥がしたり、ご自由にどうぞ。

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