カリーノとリタ


毎朝楽しみにしていたNHKの連続テレビ小説「マッサン」が終わりました。

日本のウイスキーの父と呼ばれるニツカウイスキーの創業者である竹鶴政孝さんと妻のリタさんをモデルにした物語です。

スコットランドに渡って日本人として初めてウイスキーの作り方を学んだ竹鶴政孝さんの生き様には大きな感銘を受けましたが、同時に妻のリタさんにも大きな興味を感じました。

そこで、リタさんについて少し調べてみました。



リタさんは、1896年、スコットランドのグラスゴーに程近いカーカンテロフで生まれました。

リタさんの本名は、ジェシー・ロベルタ・カウン。日本名は、竹鶴リタ。

今でこそ海外に行くことや国際結婚は珍しくなくなりましたが、当時の英国では、英国人女性が日本人男性と結婚するなんて全く考えられないことだったでしょうね。

当時の英国人は、恐らく、日本のことを殆ど知らなかったでしょうが、外見も言葉も習慣も異なる日本人と結婚することは、まさに「大冒険」だったのではないでしょうか。



上の写真は、1931年、リタさんがスコットランドに里帰りした時に撮影されたもので、左から2番目がリタさんで、その右横が養女のリマさんです。

そして、右端の女性がリタさんの母親です。

日本に渡ったリタさんがスコットランドに戻ったのは、この時が2度目で、かつ最後だったそうです。



上の写真は、カーカンテロフの街並みの一部です。

リタさんは、医師であった父・サミュエル・カウンと母親の間に生まれ、3人の妹弟とともに、町で最も立派な建物の一つと言われた屋敷で暮らしていました。

しかし、成人を迎える頃は第一次世界大戦の末期で、リタさんが結婚を約束していた男性も戦場で亡くなりました。

更に、父親が、1918年、400人もの患者から巨額の治療費を回収しないまま心臓発作で急逝してしまいました。

その為、一家はたちまち困窮し、母親は屋敷を手放すことも考えたといいます。

この頃、カウン家にやって来たのが、スコットランドにウイスキーの作り方を学びに来ていた竹鶴政孝さんでした。

グラスゴー大学で医学を学んでいたリタさんの妹・エラさんが大学で竹鶴政孝さんと知り合い、弟に柔道を教えて欲しいと自宅に連れてきたのです。

リタさんの生家は、後に町役場に転用されましたが、1985年、町役場の新築に伴って解体されてしまいました。

ニッカウヰスキーが「北海道に移築したい」と申し出たそうですが、それは叶わなかったようです。



上の写真は、カーカンテロフの博物館で展示されているリタさんが所有していた着物です。

リタさんのことは、地元であまり知られていなかったようです。

リタさんのことが知られるようになったのは、地方議員だったボビー・コイルさんが町役場の外にいる日本人観光客のグループに目を留めたことがきっかけでした。

それまで町を訪れる日本人は殆どいなかったので、興味半分で訪問理由を聞いてみると、彼らはニッカウヰスキーの従業員でした。

彼らは、当時、町役場として使われていたリタさんの実家の見学に訪れていたのです。

そして、このことが、1987年3月4日付の地元紙に「何故、日本人はカーカンテロフを訪れたがるのか―東洋の島国を感動させた女性」との見出しで大きく報じられました。



上の写真は、リタさん達が住んでいた余市の住宅です。

遠い異国の地・日本で、リタさんは、約40年間、「私の夢はマッサン」と夫を支え続けました。

竹鶴政孝さんが事業を始めた当初は、食べていくのがやっとの状態だったと言われています。

恐らく、ドラマに表現できない程の大変な苦労もあったと想像します。

1961年1月17日の朝、リタさんは、自宅で亡くなりました。

いつ亡くなったか判らない程、苦しむことのない静かな最期だったといいます。

その日のことを孫の孝太郎さんは、鮮明に覚えているそうです。

「リタが死んだ!おばあさんが死んじゃった!」と、お祖父さんが大泣きしながら、家の中をウロウロ歩き回っていました。

あんなに声を上げて泣く大人を見るのも初めてだったし、うろたえたお祖父さんを見るのも初めてで…今も忘れられません。

2日間、竹鶴政孝さんは自分の部屋に閉じ籠り、火葬場へも「わしは行かん」と行くのを拒んだそうです。

骨は九谷焼の香炉に入れ、それを床の間に置いて墓ができるまでずっと側で暮らしたといいます。

1965年、リタさんが好きだった余市工場が見える小高い丘の上に墓が建てられました。

竹鶴政孝さんは、墓石に最初から自分の名前も刻ませ、当時の社員に「この墓はな、わしとリタ、2人だけの墓だ、2人だけの」と言ったそうです。



ドラマの中で、マッサンとエリー(リタさん)が最後の会話を交わします。

「マッサン…私は今…とても幸せ。まだ冒険が続いてる。死ぬ事もまた新しい冒険。そうでしょ?」

「うん…」

「何か飲むか?」

「…何もいらない。マッサン…ずっと側にいて…」

「わしゃどこにも行かんど。ずーっとここにおるけん」

「…ウエディングドレス…ごめんなさい」

「ああ…こがいに迷惑ばっかりかけて…結婚式も挙げずに死なしてたまるか…」

「マッサン…」

「ん?」

「結婚式は挙げた。私は、あの時、本当に幸せだった…」

「マッサン…約束を…約束を守ってくれて…ありがとう…」

「うん。わしこそのう…」

「生まれ…生まれ変わったら…またお嫁さんにしてね」

「当たり前じゃ」

「…最後…最後は…笑顔で…見送って…」

「ああ…」

ミシェルのお父さんには、カリーノとリタさんが重なって見えました。

カリーノの祖先はスコットランドで生まれ、YUKIお姉さんは、カリーノのことを「リノ」と呼んでいます。

カリーノが息を引き取る時、カリーノはお父さんをじーっと見つめ「カリーノは幸せだったよ。最後まで一緒に居てくれて有難う」と言ったように見えました。

そして、お父さんも、カリーノが生まれ変わったら、また必ず娘にします。



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テーマ : 生き方
ジャンル : 小説・文学

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No title

涙が溢れて仕方ありません。「マッサン」は、私も1回も
欠かさず、見ました。リタさんと同じく、日本語も話せない
のに、主演として頑張るシャーロットさんがリタさんと
重なりました。玉山鉄二さんも、竹鶴さんと同じ様に、懸命に
エリーさんを支え、本当の竹鶴さんご夫婦の様で素晴らしかったと
思います。北大路欣也さんが途中、出演されましたが、実際に
竹鶴政孝さんとご親交があり、ご自分からNHKに出演をお願い
されたと聞き、感激致しました。
リタさんが亡くなるシーンとカリーノちゃんのお別れが重なったの
ですね。私も4年前、グーちゃんがお別れをしてくれた事を思い
出しました。出会ってしまうと、お別れは必ず、やって来ますね。
いつまでも、お別れに慣れる事はありませんが、心の中に居て
くれる愛しい温もりを大切に生きていきたいと思います。
パパさん、「マッサン」を取り上げて下さり、有難うございます。

Re: No title

>勘太―モモのママさん
カリーノパパもテレビの「マッサン」を見ていて、自然に目頭が熱くなることが何度かありました。
マッサンとエリーの最後の会話シーンも、その一つです。
苦労し、互いに支え合った夫婦が、最後まで添い遂げることの素晴らしさを教えられたように思います。
マッサンも苦労されたでしょうが、世界的に見ても非常に特殊な国である日本に嫁いだ英国人のリタさんの苦労は、マッサンの苦労以上だったものと推測します。
にもかかわらず、日本人以上に日本人になりきったリタさんは、本当に凄いと思います。
英国人は、西洋の国の中では最も日本人に近いメンタリティを持っているように感じますが、そのこともリタさんを支える一助になったのかもしれません。
プロフィール

カリーノパパ

Author:カリーノパパ
●シェリー(シェルティー母):
 とっても優しい理想的な家庭犬
 アンジェの母親です

2016.4.18永眠、享年15歳11ヶ月

●アンジェ(シェルティー娘):
 ボール遊びと食事が大好きです
 我が家で生まれました

●カリーノ(ラフコリーの女の子):
 ショードッグ
  【主なタイトル】
 JKCチャンピョン
 FCIインター・チャンピョン 
 【主な賞歴】
 2009年アジアインターBOB
 2010年ジャパンインターBOB
 2010年近畿インターBOB
 2010年東北インターBOB 
 2010年ペディグリーアワード
 【資格】
 JKC訓練資格CDⅠ

2014.12.9永眠、享年8歳5ヶ月

●ミシェル(ラフコリーの男の子):
 陽気で優しく、人が大好きです
 ショードッグ
 【主なタイトル】
 JKCチャンピョン
 【主な賞歴】
 2011年神奈川インターWD
 2014年熱海愛犬クラブ展WD
 2014年山梨東ドッグコ展WD
 2015年沼津愛犬クラブ展WD
 【資格】
 JKC訓練資格CDⅠ

●カリーノパパ(人間):
 ミシェル達のお父さん
 本職は建築家(一級建築士)
 犬、スキー、ゴルフ、車、絵画が大好き
 1974年から大手建設会社の設計部にて勤務
 1986年に海外部門に異動し、14年間海外勤務
 内13年間をロンドンにて勤務
 2012年に大手建設会社を定年退職
 同年5月から河口湖でスローライフ開始

●訪問ありがとうございます。
4頭の犬と一緒に暮らしながら、日々感じたことを綴っています。
ミシェルとミシェルのお父さんであるカリーノパパが、記事やコメントを書いています。

●コメントは、ありがたく拝見し、返信させていただきます。

●リンクフリーです。貼ったり剥がしたり、ご自由にどうぞ。

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