悔しさをバネに



これは、オートバイレースの最高峰である「ロードレース世界選手権(現在のモト・グランプリ)」の様子です。

直線コースでの最高速度が、時速350㎞を超えるモンスター・マシンです。

コーナーではバイクを45度以上も傾け、膝を路面に接触させながら回って行きます。

ヨチヨチ歩きの頃からスキーを始め、競技スキーをしていたミシェルのお父さんにとっては、速いものに対する憧れの存在でした。

このバイクは、単に速いだけではなく、大変美しい形をしています。

デザインにも強い興味を持つお父さんにとっては、デザイン的にも憧れの存在でした。

しかし、オートバイは自動車に比べると、実用面で必要不可欠という存在ではなく、お父さんにとっては、あくまで憧れの存在でした。



会社勤めをしていると、時々、不合理と思える事態に遭遇し、落ち込みそうになる時があります。

お父さんがロンドンで勤務していた当時にも、そのようなことがありました。

こんな時、お酒を飲める人なら、ヤケ酒でも煽って憂さを晴らすのでしょうが、下戸のお父さんは、酒に逃げることはできません。

その時、お父さんは「ここで落ち込んでいても何にもならない。この悔しさを自分を変えるバネにしよう」と思いました。

それまで「オートバイは、自分には無縁」と思っていたお父さんでしたが、突然「オートバイの免許を取ってやろう」と決断したのです。

40歳を過ぎてから、オートバイの免許を取るのは大変です。

しかも、1週間の短期集中講習で免許取得を試みたのです。

英国では、簡単な申請をすれば、「Lマーク」と呼ばれる仮免許が発行され、それをオートバイに付ければ、直ぐに一般道路を走行することができます。

オートバイでピザの配達をやっている若者の中には、このLマークを付けている人が大勢います。

お父さんと同じ期間に、短期集中講習を利用した若者達は、長い間、このLマークを付けてオートバイを運転していたベテラン揃いです。

そんなベテラン揃いの若者達に混じって、40歳を過ぎたおじさんが、免許取得の為に悪戦苦闘したのです。

ちなみに、英国には、日本のような自動車教習場のコースは無く、講習も一般の道路で行われます。



講習の指導員は、デビーという名前の女性でした。

生徒は、お父さんを含めて6~7人程でした。

生徒は、耳に無線通信用のイヤホンを付け、指導員からの指示を聞きながら、1列縦隊になって走行します。

しかし、この無線通信機の品質が悪く、指示が聞き取りにくいこともあって、英国人の若者でさえ、右に曲がるべきところを左に曲がってしまうことがあります。

その度に、デビーの罵声が容赦なく飛んできます。

お父さんには、デビーではなく、デビル(悪魔)に思えた程です。

オートバイ初心者で、40歳を過ぎたおじさんにとっては、かなり過酷な講習で、一日目を終わった時には「もう止めたい」と思いました。

しかし、自分自身に鞭打ち、何とか1週間の講習を修了しました。

翌日、免許取得の為の試験が行われます。

先に受験したベテランの若者の中にも不合格となって戻ってくる人がいました。

そして、いよいよお父さんの番です。

試験官が「Turn right ! (右に曲がって)」と言ったので、お父さんは、その場で右に回り始めました。

しかし、試験官が「Turn right !」と言ったのは、「道路に出てから右に曲がれ」という意味だったのです。

いきなり失敗をしたお父さんは「もう駄目かも」と思いましたが、諦めず、必死に最後まで頑張りました。

試験が終わったあと、試験官が「合格」と言ってくれたのですが、お父さんは信じられず、茫然としていました。

すると、試験官が「何だ、嬉しくないのか?」と言ったので、お父さんは、やっと笑うことができました。

その瞬間、苦しんだ1週間が頭の中に蘇えり、目頭が熱くなりました。



免許を取ったばかりのお父さんでしたが、若い頃から憧れていたレース用バイクのレプリカを購入しました。

「バイクのフェラーリ」とも形容されるイタリア製のドカティ888です。

お父さんは、「このバイクに乗りたい」という気持ち以上に、「この美しいバイクを自分の側に置いておきたい」という思いが強くて、ドカティ888を購入したのです。

しかし、オートバイ初心者のお父さんにとっては、このスーパーバイクは、まさに「盲蛇に怖じず」の類でした。

早朝、まだ交通量が多くない時にドカティに乗る練習をしたのですが、「エンジン音が住民の迷惑になってはいけない」と思い、一般道路までドカティを押して行ってからエンジンを始動するようにしていました。

ところが、講習で乗っていた50㏄の軽いバイクとは異なり、スーパーバイクは重くて、押すのが大変です。

加えて、車庫から一般道路までは緩やかな上り坂になっているので、道路に出る頃には、ヘトヘトに疲れ切っていました。

今となっては、笑い話のような経験でしたが、「何かにチャレンジする」という意味では、想い出深い経験でした。



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No title

40歳を過ぎてから自分の憧れだったものを手に入れるなんて凄いと思います。
しかも、悔しさを自分を変えるバネにされたことに感服します。
ドカティは素晴らしいバイクですが、一段と輝きを放っているように見えます。

Re: No title

>KENTさん
ありがとうございます。
悔しさを味わった時に、「落ち込んでいても何も生まれない」と思ったことと、「例え小さなことでもいいから、自分を前に進めてみよう」と考えたことが、このような挑戦になりました。
これも懐かしい想い出の一つです。
プロフィール

カリーノパパ

Author:カリーノパパ
●シェリー(シェルティー母):
 とっても優しい理想的な家庭犬
 アンジェの母親です

2016.4.18永眠、享年15歳11ヶ月

●アンジェ(シェルティー娘):
 ボール遊びと食事が大好きです
 我が家で生まれました

●カリーノ(ラフコリーの女の子):
 ショードッグ
  【主なタイトル】
 JKCチャンピョン
 FCIインター・チャンピョン 
 【主な賞歴】
 2009年アジアインターBOB
 2010年ジャパンインターBOB
 2010年近畿インターBOB
 2010年東北インターBOB 
 2010年ペディグリーアワード
 【資格】
 JKC訓練資格CDⅠ

2014.12.9永眠、享年8歳5ヶ月

●ミシェル(ラフコリーの男の子):
 陽気で優しく、人が大好きです
 ショードッグ
 【主なタイトル】
 JKCチャンピョン
 【主な賞歴】
 2011年神奈川インターWD
 2014年熱海愛犬クラブ展WD
 2014年山梨東ドッグコ展WD
 2015年沼津愛犬クラブ展WD
 【資格】
 JKC訓練資格CDⅠ

●カリーノパパ(人間):
 ミシェル達のお父さん
 本職は建築家(一級建築士)
 犬、スキー、ゴルフ、車、絵画が大好き
 1974年から大手建設会社の設計部にて勤務
 1986年に海外部門に異動し、14年間海外勤務
 内13年間をロンドンにて勤務
 2012年に大手建設会社を定年退職
 同年5月から河口湖でスローライフ開始

●訪問ありがとうございます。
4頭の犬と一緒に暮らしながら、日々感じたことを綴っています。
ミシェルとミシェルのお父さんであるカリーノパパが、記事やコメントを書いています。

●コメントは、ありがたく拝見し、返信させていただきます。

●リンクフリーです。貼ったり剥がしたり、ご自由にどうぞ。

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