120 Fleet Street Building



写真の建物は、ロンドンの中心地のシティ(金融街)にあるゴールドマン・サックスのヨーロッパ本社ビルです。

ミシェルのお父さんが、英国勤務中、最後に担当・建設した建物です。

建設中は、住所の名前をとって、「120 Fleet Street Building」と呼ばれていました。

前面道路の「Fleet Street」は、ロンドン中心部の主要道路の1つで、有名なセント・ポール寺院に通じています。

建物は、大きく3つのファサード(外装)から構成されています。

1つ目は、写真中央の英国原産の石を使った伝統的なファサードです。

Fleet Streetは、景観指定がされている為に伝統的なデザインが求められています。



2つ目は、アルミ製カーテンウォール(金属パネル)を使った、現代的なファサードです。

日本のオフィスビルは、殆どアルミ製カーテンウォールが使われています。

但し、このビルの場合は、ゴールドマン・サックスの要求で、アルミ製カーテンウォールと石張りの外壁部分は、外部で爆弾が爆発しても内部に被害が及ばないように「防爆仕様」になっています。

危機管理を重要視するアメリカ企業らしい配慮です。



3つ目は、レトロなデザインのアルミ製カーテンウォールを使ったファサードです。

この部分の既存建物は、「グレードⅡ*」というレベルの「保存指定」がされていました。

その理由は、①英国で初めてカーテンウォールが採用された建物、②内装に「アールデコ」のデザインが採用された建物、③構造に「長大スパン(無柱空間)」が採用された特殊な建物、というものです。

英国で「保存指定」がされるのは、基本的に築100年以上の建物ですが、1932年竣工の建物が「保存指定」されるのは珍しいケースです。



これが、1932年の竣工当時の写真です。

英国の大手新聞会社である「Daily Express」の本社ビルでした。

しかし、既存のカーテンウォールはスティール製で、かつガラスもシングル(1枚)だったので、現代のオフィスビルに求められる断熱性能は有していません。

そこで、デザインを変えず、アルミで全く同じカーテンウォールを制作し、ガラスも複層(2重)としたのです。

スチールとアルミでは強度が違いますから、見た目のデザインを変えないというのは、極めて難しい技術です。



これは、「アールデコ」のデザインが使われたエントランス・ロビーです。(旧Dily Express本社部分)

デザインや仕様は、1932年の竣工当時と同じですが、全て綺麗に復元されました。(英国における「優秀復元工事」に選ばれ、受賞しました)

壁や天井には、本物の金粉や銀粉が使用されていますが、復元に際しても本物が使用されています。



竣工当時からあった壁の「Daily Express」というレリーフも、綺麗に復元して残されました。

日本では、少し古くなると、建物は解体されてしまいますが、英国では、このように古い建物が大切にされています。



こちらも竣工当時からある壁のレリーフです。

本物の金粉と銀粉を使って、綺麗に復元されました。



この蛇も竣工当時からある「アールデコ」のデザインを使った階段の手摺です。

建物全体の延床面積は、約60,000㎡です。

オフィス部分の内装工事(別途工事)を除いて、工事費は約200億円でした。(共有部分の内装工事は含む)

ミシェルのお父さんは、1997年から1998年の1年間は、既存ビルを購入した伊藤忠商事の開発事業担当のNさんと(伊藤忠の要請を受けて、一時的に伊藤忠のロンドン駐在スタッフとして開発事業のお手伝いをしました)、①ゴールドマン・サックスとの契約のまとめ、②設計のまとめ、③伊藤忠商事のプロジェクト・マネージメント会社の選定、④建設会社の入札選定、⑤ノミネート・コントラクター(施主指定下請け会社)の選定、⑥指定建設材料の選定、等の仕事を行いました。

1998年から2000年の2年間は、建設会社(英国と日本の建設会社のJV)のプロジェクト・ダイレクターとして、建設チームを指揮しました。

契約に関しては、ゴールドマン・サックスも伊藤忠商事も英国でトップ3に入る弁護士を雇い、長期に渡って極めてシビアな交渉を行いました。

工事に関しては、ヨーロッパ各地に出張し、材料を吟味して選定しました。

英国勤務の最後に、ロンドンの中心地で、極めて大規模でグレードの高い建物の建設工事を担当できたことは、ミシェルのお父さんにとっては、大変感慨深い出来事でした。



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ジャンル : 学問・文化・芸術

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No title

素晴らしい建物と、多分、一生、本物を見る事は
ないだろう美しい内装を見せて頂き、感激です。
パパさん、本当に素晴らしいお仕事をしてこられ
たのですね。ご自分のお仕事に誇りをもって
いらっしゃるのが伝わってきます。ご自分の人生の
足跡がこうして残っていくなんて、羨ましいです。
建築の詳しいお話も聞かせて頂いて、建物を見る
楽しみが増えました。本当に有難うございます。

No title

今日の地震、パパさん方は大丈夫でらっしゃいましたか?
ミシェル君達、怖かったのではないでしょうか。
何事もない事をお祈りしています。

No title

素晴らしい仕事をされましたね。
後世に残るビルを建設されて、羨ましい限りです。
海外での建設工事は、日本よりも数倍も難しいと聞きますが、さぞかし御苦労が多かったことでしょうね。

Re: No title

>勘太―モモのママさん
ありがとうございます。
ロンドン勤務が10年経った時点で、インドネシアに転勤の話があり、日本に任期満了帰国しました。
帰任休暇中に本社の役員から呼び出しがあり、「伊藤忠さんから、あなたを指名で、ロンドンの開発事業を手伝ってもらいたいという話が来た。会社としては、インドネシアに転勤が内定しているということで断ったが、伊藤忠さんから、もし手伝ってもらえないなら入札にも参加させないと言われた」と伝えられ、私自身の意志を問われました。
私自身は、インドネシアの超大規模な開発事業に興味を感じていましたが、最終的には伊藤忠さんの指名を受けることにし、休暇明けに二度目のロンドン赴任となりました。
会社員としては、インドネシアに赴任した方が賢明だったようにも思いますが、ロンドンでも大変貴重な経験をさせて頂いたことは良かったと思っています。

Re: No title

>勘太―モモのママさん
御心配いただき、ありがとうございます。
河口湖は震度3で、少し揺れましたが、被害は全くありませんでした。
ミシェルも揺れを感じたようで、直ぐに私の横に来ました。
やはり、頼りにしてくれているのですね。

Re: No title

>デュークパパさん
ありがとうございます。
少なくとも、保存指定されている旧デーリー・エクスプレス本社ビル部分は、大切に保存され続けていくと思います。
仰るように、海外での建設工事は、日本よりも遥かに難しいのは事実で、この建設工事においても苦労の連続でした。
プロフィール

カリーノパパ

Author:カリーノパパ
●シェリー(シェルティー母):
 とっても優しい理想的な家庭犬
 アンジェの母親です

2016.4.18永眠、享年15歳11ヶ月

●アンジェ(シェルティー娘):
 ボール遊びと食事が大好きです
 我が家で生まれました

●カリーノ(ラフコリーの女の子):
 ショードッグ
  【主なタイトル】
 JKCチャンピョン
 FCIインター・チャンピョン 
 【主な賞歴】
 2009年アジアインターBOB
 2010年ジャパンインターBOB
 2010年近畿インターBOB
 2010年東北インターBOB 
 2010年ペディグリーアワード
 【資格】
 JKC訓練資格CDⅠ

2014.12.9永眠、享年8歳5ヶ月

●ミシェル(ラフコリーの男の子):
 陽気で優しく、人が大好きです
 ショードッグ
 【主なタイトル】
 JKCチャンピョン
 【主な賞歴】
 2011年神奈川インターWD
 2014年熱海愛犬クラブ展WD
 2014年山梨東ドッグコ展WD
 2015年沼津愛犬クラブ展WD
 【資格】
 JKC訓練資格CDⅠ

●カリーノパパ(人間):
 ミシェル達のお父さん
 本職は建築家(一級建築士)
 犬、スキー、ゴルフ、車、絵画が大好き
 1974年から大手建設会社の設計部にて勤務
 1986年に海外部門に異動し、14年間海外勤務
 内13年間をロンドンにて勤務
 2012年に大手建設会社を定年退職
 同年5月から河口湖でスローライフ開始

●訪問ありがとうございます。
4頭の犬と一緒に暮らしながら、日々感じたことを綴っています。
ミシェルとミシェルのお父さんであるカリーノパパが、記事やコメントを書いています。

●コメントは、ありがたく拝見し、返信させていただきます。

●リンクフリーです。貼ったり剥がしたり、ご自由にどうぞ。

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