マンション建替え問題


建築の専門家であるミシェルのお父さんにとって、気になるニュースが飛び込んできました。

ということで、本日は、建築の問題点について語ってみたいと思います。



写真の建物は、住友不動産が2003年に分譲したパークスクエア三ツ沢公園です。

設計と施工を担当したのは、熊谷組でした。

このマンションの全5棟中、1棟が施工不良の為に傾斜していることが判明したそうです。

建物が傾斜したのは、建物を支える杭が「支持層」と呼ばれる硬い地盤に達していなかったことが原因と見られています。



上の写真はマンションの外部廊下部分ですが、手摺部分が上下左右方向共に大きくずれていることが判ります。

アルミパネルで覆われた部分は「エクスパンション・ジョイント」と呼ばれるもので、2棟のマンションが接する部分などに構造的な隙間を設け、それぞれの棟が動いた時に構造的なダメージを吸収するものです。

建物は、自然沈下や地震などで多少動くことが想定されていますが、この写真のような大きなずれが生じた場合は、他の原因がある可能性も考えられます。

当マンションの場合は、以前から住民側が何度も住友不動産や熊谷組に問題を伝えていたそうですが、先方からは「東日本大震災などの地震によるもので、問題は無い」との回答を受けていたそうです。

そこで、住民側が第三者の建築士に調査を依頼結果、「B南棟の敷地の一部が造成前は谷地だったことが判り、更に杭が支持層に達していない」ということが明らかになりました。

売り主である住友不動産は「補修工事を含む是正工事を行う考え」とのことですが、既に傾いてしまっている建物を起こし、新たな杭を打設するというのは大変な工事になります。

このマンションの場合、ミシェルのお父さんは、次の2点に大きな疑問を感じます。

1.熊谷組ほどの建設会社なら、造成地であることや支持地盤の位置は容易に解ったはずである。

2.10年以上も「問題なし」としてきた住友不動産と熊谷組の対応は、不誠実であったと言われても言い訳できない。



写真の建物は、三菱地所レジデンスが事業主として、東京の南青山に建設していた超高級マンション「ザ・パークハウス グラン南青山高樹町」です。(価格帯は、1億4,000万円台を中心とし、最高で3億5,000万円)

このマンションの場合は、梁や床などに設ける約6,000カ所のスリーブ(設備の配管や配線を通す穴)の内、約600カ所も施工図通りに開けられていないことが完成間際になって明らかになり、販売中止に追い込まれました。(この時点で、86戸中83戸が売却済み)

そして、「事業主が三菱地所レジデンス、設計が三菱地所、施工が鹿島建設という一流ブランドタッグが犯したミス」ということで、マンションユーザーに対して大きな衝撃を与えています。

その後、施工を担当していた鹿島建設が、「解体と建設費用を全額負担する形で建替えする」ことを表明しました。

完成間際の建物を解体して建直すというのは、極めて異例な決断です。

両社の説明によれば、「今回のミスは、サブコンの関電工がスリーブの開け忘れや位置間違えを起こし、それを鹿島の現場所長が独断で必要箇所に穴を開け、更にそれを周囲に報告していなかったことで引き起こされた」とのことです。

このマンションの場合、ミシェルのお父さんは、次の3点について大きな疑問を感じます。

1.三菱地所レジデンス、三菱地所、鹿島建設とも、社内に工事監理を行う独立した部署を持っているにも関わらず、何故、問題が完成間際まで見過ごされたのか?

2.サブコンの関電工から問題の報告があった時点で、鹿島の所長は、何故、社内の工事監理部、設計事務所、事業主に対して義務付けられている報告を行わなかったのか?

3.事業主、設計事務所、施工会社とも社内に工事監理部署を設けており、工事中に施工図と施工箇所のチェックを毎週行っているはずなのに、何故、問題が見過ごされていたのか?

ニュースだけでは真相は判りませんが、結果として、買い主の信頼を裏切ったことは、本当に情けないことだと思います。



日本の建設業は、基本的に、建築主と建設会社の信頼関係で成り立っています。

これは、単一民族である日本だからこそ成り立ちうる関係と言っても過言ではありません。

一方、多民族国家が多い外国では、基本的に信頼関係は薄く、複雑な契約を結んでリスクヘッジを行っています。
(日本でも契約書はありますが、外国と比べると、極めて簡単な内容)

日本で、その信頼関係が成り立たなくなった場合は、外国と同じように、複雑な契約を結び、かつ独自に専門家を雇う必要が生じてきます。

建設工事においては、色々な事情から、工事中に想定外の問題が多々起きることは事実です。(鉄筋不足、コンクリートの不良等)

そして、手遅れにならない内に、関係している会社の担当者が集まって対策を協議するのが一般的です。

しかし、信頼がおけない会社の場合は、問題への根本的な対策を行わずに仕上げ材で覆ってしまうので、問題が残ったままになる可能性があります。

マンションを購入する人達の多くは建設の素人ですから、自分で引渡し前の検査を行っても、隠れた問題を見つけ出すのは極めて困難です。

そういう観点では、多少お金がかかっても、専門家にも検査に立ち会ってもらうと良いかもしれません。



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No title

さすがは、建築家のカリーノパパさんです。
新国立競技場の記事といい、今回のマンションの記事といい、素人の私にも建築の問題点がよく解りました。
特にマンションは、庶民にとって重大な関心事ですから、今回の問題点は大いに参考になりました。
大手の事業主や建設会社でも今回のような問題を起こすのですから、小さな事業主や建設会社はもっと危ない可能性があるかもしれませんね。

No title

近所で三菱地所がマンション建設をしていますが、実際の現場作業員は若者か外国人が殆どです。
流石に現場監督は経験豊富な方があったていると思いたいです。

が、現実的に設計どおりに施工されていない、ということが一流企業でも起こっているのですね。

元原発技術者の故平井憲夫氏は、生前からその点も含めて告発されていらっしゃいますが、原発でさえ、その様な状況である、と想像すると空恐ろしいものがあります。




No title

このニュースできっとパパさんは心を痛めて
いらっしゃるだろうと思っておりました。
今回も解り易く教えて下さり、有難うございます。
建築は「命を守る」職業の一つです。その事が
ないがしろにされている気がしてなりません。
一生を懸けて購入され、幸せな生活を保障されたと
思ってらした住民の皆さんのお気持ち、お察し
致します。どうぞ、安全な暮らしが保証されます
様に!

Re: No title

>COCOさん
建築の問題点を理解して頂けて良かったです。
仰るように、マンションは庶民にとって大きな関心事ですよね。
完成してしまうと、素人では、なかなか問題点を見つけるのは難しいと思います。
しかし、実際には、コンクリートの不良部分があったり、鉄筋の不足といった問題があることがあります。
不良部分を施工し直さず、仕上げ材で隠してしまうこともあるので注意が必要です。
このような問題を避ける意味では、やはり大手の不動産会社や建設会社の物件を選ぶのが無難だと思います。

Re: No title

>kuntaさん
確かに、大手の不動産会社や建設会社が立派なことを言っていても、実際に建物を造っているのは職人さんなんですよね。
良い職人さんばかり集まるとは限らないので、その仕事を監理する人の力量が大変重要になります。
しかし、時には、その監理がおろそかになってしまうことがあるので要注意です。

大手の不動産会社や建設会社の物件を選ぶ一つのメリットは、万一問題が明らかになった場合、大手は信用の問題もあるので、責任を持って対処してくれる点でしょうか。

カリーノパパが、以前に知った情報では、原発においては設備配管が結構危ない状態であるようです。
放射能という人間ではコントロールできない化け物を、いついかなる時(地震、戦争、テロ等)にも安全な状態に置いておくなんてことは、基本的に不可能だと思います。

Re: No title

>勘太‐モモのママさん
特に自分が勤めていた会社の失態には、大きな失望と怒りを感じます。
再雇用の話を辞退して退職した理由の一つに、会社員が、客先よりも上司や役員の顔を見て仕事をしていることに嫌悪感を抱いたことがありました。
そんな人達は出世願望が強いのでしょうが、上司や役員も、部下がイエスマンである方がやり易いのでしょうね。
その結果、時には、客先に対するサービスがおろそかになることも生じてしまいます。
カリーノパパの場合は、サラリーマンである前に、建築家であり、職人でもありたいと思い、60歳で会社勤めを止めることにしました。
プロフィール

カリーノパパ

Author:カリーノパパ
●シェリー(シェルティー母):
 とっても優しい理想的な家庭犬
 アンジェの母親です

2016.4.18永眠、享年15歳11ヶ月

●アンジェ(シェルティー娘):
 ボール遊びと食事が大好きです
 我が家で生まれました

●カリーノ(ラフコリーの女の子):
 ショードッグ
  【主なタイトル】
 JKCチャンピョン
 FCIインター・チャンピョン 
 【主な賞歴】
 2009年アジアインターBOB
 2010年ジャパンインターBOB
 2010年近畿インターBOB
 2010年東北インターBOB 
 2010年ペディグリーアワード
 【資格】
 JKC訓練資格CDⅠ

2014.12.9永眠、享年8歳5ヶ月

●ミシェル(ラフコリーの男の子):
 陽気で優しく、人が大好きです
 ショードッグ
 【主なタイトル】
 JKCチャンピョン
 【主な賞歴】
 2011年神奈川インターWD
 2014年熱海愛犬クラブ展WD
 2014年山梨東ドッグコ展WD
 2015年沼津愛犬クラブ展WD
 【資格】
 JKC訓練資格CDⅠ

●カリーノパパ(人間):
 ミシェル達のお父さん
 本職は建築家(一級建築士)
 犬、スキー、ゴルフ、車、絵画が大好き
 1974年から大手建設会社の設計部にて勤務
 1986年に海外部門に異動し、14年間海外勤務
 内13年間をロンドンにて勤務
 2012年に大手建設会社を定年退職
 同年5月から河口湖でスローライフ開始

●訪問ありがとうございます。
4頭の犬と一緒に暮らしながら、日々感じたことを綴っています。
ミシェルとミシェルのお父さんであるカリーノパパが、記事やコメントを書いています。

●コメントは、ありがたく拝見し、返信させていただきます。

●リンクフリーです。貼ったり剥がしたり、ご自由にどうぞ。

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